第12話

正体不明の男の子
140
2020/09/19 09:00
~翌日~
ニコレット=デシャネル
皆さ~ん!起きて下さ~い!
今日もニコレットちゃんが起こしに来たみたいだ。
吉岡 鈴華
もう、凛星いつまで寝てるの?
部屋のドアの方から声がする。
西川 恋
なんだ、凛星まだ起きないのか(笑)
西川 結萌
凛星ちゃん、今日は勉強する日だよ……!
北嶋 花霞
支度終わってないの凛星だけだよ~?
体を起こし、時計を見る。
現在の時刻……8:00
山本 凛星
……え!?
私は起き、急いで支度を済ませた。
~朝食食べ終わって~
吉岡 鈴華
もう、なんであんなに寝れるんだか……
鈴華は半ば呆れたような顔で私を見る。
山本 凛星
鈴華って、お母さんみたい~(笑)
私がそう言うと、
「話をちゃんと聞いて?」
と少し怒られた。
ニコレット=デシャネル
えっと、今日は勉強の日でしたね~!
山本 凛星
うげ、忘れてた……
西川 結萌
皆で頑張ろう……!
西川 恋
一日で終わるといいんだがな……
北嶋 花霞
誰の部屋でするの?
花霞がそう聞くと、ニコレットちゃんは少し考えて、
ニコレット=デシャネル
あ、お父様が使ってた会議用の部屋でします?
と少しワクワクしたような声で私たちに言う。
吉岡 鈴華
うん、そこで大丈夫よ。
山本 凛星
休憩挟もうね……?
西川 結萌
そうだね、無理はダメだし、時々休憩入れたいね……
そして私達は部屋へ向かった。
ニコレット=デシャネル
今日はお父様、ここ使う予定無かったはずなので自由に使えますよ~!
西川 恋
どうせなら、ヴィヴィアンネとか言う人も連れてきた方が良くないか?
山本 凛星
ヴィヴィアンネさんも忙しいんじゃない……?
吉岡 鈴華
でもニコレット1人に教えてもらうのもね~……大変だろうし。
そしてヴィヴィアンネさんを呼ぶことになった。
北嶋 花霞
……で、誰が呼びに行く?
山本 凛星
ここはじゃんけんで決める?
西川 恋
そうだな、いいんじゃないか?
そして、じゃんけんの結果……
山本 凛星
う、私か……
吉岡 鈴華
じゃ、凛星よろしく!
西川 結萌
な、なんかごめんね……
山本 凛星
いや、いいんだけど、なんか緊張する~……
西川 恋
ま、とりあえず行ってこい(笑)
ニコレット=デシャネル
お願いしますね!
北嶋 花霞
行ってらっしゃい~
そして私はみんなに見守られ(?)図書室へ向かうことに……
山本 凛星
って言っても、どこにヴィヴィアンネさんいるか分からないんだよね~……
今回は迷わないようにと、この前の記憶を頼りに頑張って向かう。
???
~~~!
???
~~~~~!?
山本 凛星
あれ、なんか声が……
図書室へ向かう途中、1つのドアの前から何か声が聞こえた。
正確に何を言ってるかは聞こえないが、ドア越しでも聞こえるのだから大きな声で話しているのだろう。
山本 凛星
何か言い争ってるのかな……?
私が少し耳をすませていると、ドアの中から足音が聞こえ、こちらへ向かってくるのがわかった。
山本 凛星
え、私が聞いてるってなったらヤバいかな……?
私は咄嗟に近くにあった観葉植物に身を隠した。
そしてその瞬間、ドアが開いた。
危ない、あと1秒遅かったら見つかってた……
ジェルヴェ=デシャネル
……それじゃ、私は少し頭を冷やしてくるよ。
部屋からニコレットちゃんのお父さんが出てきた。
エポニーヌ=デシャネル
貴方、逃げるの!?まだ話は……
そして部屋の中からはニコレットちゃんのお母さんの声。
口調からして、何か言い争っていたのだろうか?
???
エポニーヌ様、落ち着いてください。
そして更に男の人の声が聞こえてきた。果たして部屋の中には何人の人がいるのだろうか……
ニコレットちゃんのお父さんが居なくなって、ニコレットちゃんのお母さんも部屋から出てきた。
エポニーヌ=デシャネル
私ももう行くわ。この後予定があるのよ。だから支度しなきゃ。
???
はい、分かりました。私は仕事を済ませてからご一緒致します。
ニコレットちゃんのお母さんの背中が完全に見えなくなり、その男の人も部屋から出てきた。
格好からしてその人もお城に使えてる人みたいだった。
私もそろそろ行かないとね……
そう思い、図書室へ向かって歩き始めた。その時、
???
あの、すみません。
山本 凛星
……うわっ!?
突然肩を掴まれ、声をかけられた。
ランベール=ファルジア
突然すみませんね。私はランベールと申します。
ランベールと名乗るその男の人は、さっきニコレットちゃんのお母さんと一緒にいた人だった。
ランベールさんはずっとニコニコしていて、笑っているのに圧のようなものが凄かった。見たところ、私と歳が近そうだ。
山本 凛星
……あの、えっと、私に何か?
圧がすごいので、言葉に詰まってしまう。
ランベール=ファルジア
……さっき、私たちのやり取り、聞いてましたか?
これには動揺が隠せなかった。
山本 凛星
……えっと、聞いてたって言うか、聞こえたって言うか……?
私が答えに困っていると、
ランベール=ファルジア
大丈夫ですよ。別に怒っている訳では無いので。
いや、笑顔なのに怖い……!本当に歳同じくらいだよね!?
山本 凛星
いや、あの、す、すみませんっ!聞いてましたっ!あの、でも、内容は聞こえてなきゃったので……!
緊張のあまり、噛んでしまった。恥ずかしい……
私が怒られるのが怖いのと、緊張と、恥ずかしいのとで俯いていると、
ランベールさんが「ふふっ……」と少し笑った。
ランベール=ファルジア
あはははは!"凛星さん"って、面白いですね~!
そう言うとランベールさんは私の頬を触った。
山本 凛星
……え?
ランベールさんの顔を見ると、笑っているのだが、どこか怖いような感じの、ゾクッと来るような顔で笑っていた。
私が恐怖と困惑で動けないでいると、
ランベール=ファルジア
いやー、僕、"凛星さん"のこと少し気に入っちゃったなぁ……!
敬語が無くなる。
山本 凛星
いや、あの……えっと……
ランベールさんは鼻が触れそうなくらい顔を近づけてきた。
???
貴方、何してるの!
声がした方を目だけを動かして見ると、この前の女の人が立っていた。
ランベール=ファルジア
……特に何もしてませんよ。
そしてランベールさんは私から手と顔を離し、その女の人に向き直る。それでもまだニコニコしているランベールさんが少し怖い。
ランベール=ファルジア
というか、貴方こそ誰ですか。見たことない顔ですね。
ランベールさんは面白くなさそうに女の人に尋ねる。
ロズリーヌ=アライス
……私は、ロズリーヌ。ロズリーヌ=アライスよ。この城に用があって来たわ。
この前の女性はロズリーヌと言うらしい。
ロズリーヌ=アライス
本当は、あまり名乗りたくなかったのだけどね。
ランベール=ファルジア
ふーん、怪しいですね。まぁ、いいでしょう。
そう言うとランベールさんは私に向き直り、
ランベール=ファルジア
では、また会いましょう、"凛星さん"。
そしてランベールさんは去っていった。
山本 凛星
あー……びっくりした……
私は近くの壁にもたれ掛かる。
ロズリーヌ=アライス
ふふっ、災難だったわね。これから面倒くさくなりそうよ?
山本 凛星
それが困りま……
私が突然黙ると、
ロズリーヌ=アライス
……何?どうかしたの?
私はある事に気づいた。
山本 凛星
あれ、私……
ランベールさんに、名前、教えたっけ?

プリ小説オーディオドラマ