第3話

異世界への扉を開く鍵
350
2020/09/06 09:00
~土曜日・凛星の家にて~
現在の時刻、午前10時
今日は「現実逃避クラブ」の皆で集まる日。
そして集合場所は私の家。
今は皆を待ってる状態かな?
ピンポーン
鈴華達が来たようだ。
私は玄関に行き、ドアを開ける。
山本 凛星
いらっしゃい~!
吉岡 鈴華
お邪魔しまーす
北嶋 花霞
ここが凛星の家か~
西川 恋
意外と広いな
西川 結萌
綺麗なお家だね……!
山本 凛星
上がって上がって~!
そして皆を私の部屋へと案内する。
山本 凛星
ここが私の部屋だよー
吉岡 鈴華
相変わらず物少ないね~(笑)
西川 恋
凛星って掃除、出来たんだな
山本 凛星
出来るってば(笑)
飲み物取ってくるね!
私はそう言い、部屋から一旦出て行く。
部屋からは
「これ可愛い~」
とか、
「凛星って意外にこーゆー趣味してるんだ(笑)」
という声が聞こえてくる。
恐らく私の部屋を勝手に物色しているのだろう。
山本 凛星
まぁ、別にいいけどね~……
そんな独り言を言いながら、私はキッチンに行き、ジュースをグラスにいれ、それを人数分用意する。
山本 凛星
ついでにお菓子とかもいるかな~……
そして私はジュースの入ったグラスとお菓子の入ったお皿をお盆に乗せ、部屋へと向かう。
ちなみに私の部屋は2階にあるので階段を上る。
物を持った状態なので少し下が見えにくく、上りづらい。
山本 凛星
はーい、お待たせ致しましたー、こちらご注文のジュースとポテトチップスでございまーす!
私がドアを開けながらファミレスの店員のモノマネをしながらジュースとお菓子を運ぶと、
北嶋 花霞
凄い棒読み~(笑)
西川 結萌
あ、ジュースありがとう……!
など、それぞれの反応が返ってきた。
小さな折りたたみ式のテーブルを囲むように座り、本題に入る。
吉岡 鈴華
えっと……異世界に行きたい、だっけ?
北嶋 花霞
具体的な方法とかがまだ分からないんだけど……
西川 恋
そもそもどうしていきなり……
各々の質問が一斉にぶつけられる。
山本 凛星
あ、方法なら一応分かるよ?
私はそう言い、本棚から少し新しい雑誌を取り出す。
西川 結萌
……何これ?
山本 凛星
これの確かこのページに……
うろ覚えだが、目当てのページを探る。
吉岡 鈴華
……これ?
そこには
「異世界に行けるおまじない☆」
という見出しが書かれたページがあった。
西川 恋
おいおい、私達はオカルトクラブじゃないんだぞ?
北嶋 花霞
う~ん……行けるっていう確証がないけどね……
どうやら皆はあまり乗り気じゃないらしい。
そりゃそうだ。
西川 結萌
で、でも、他にする事ないし、とりあえずやってみよう?
山本 凛星
うん!やってみようよ!
自分でもなぜここまではっきりとやってみようと言ったのかは分からないが、興味はあったため、少しワクワクしていた。
吉岡 鈴華
うーん、手順は?
鈴華がそう言い、雑誌に書いてある手順を読み上げる。
雑誌に書いていた手順はこうだ。
1、複数人でする場合、円になる。

2、全員の手のひらに黄色のペンで☆を描く。

3、手をグーの形にし、前に突き出す。

4、円の中心に適当な鍵を置く。

5、全員で異世界に行きたいと強く願う。
吉岡 鈴華
……え、これだけ?
読み上げるのを終えた鈴華はそうつぶやく。
北嶋 花霞
なんか手順が簡単すぎる気もするけど~……
西川 結萌
と、とりあえず、やってみよう……?
そして私達は囲んでいたテーブルを退かし、全員で円の形になるように立つ。
そして私のペンケースから黄色のペンを取り、☆を描く。
山本 凛星
……左手じゃ描きにくい……!
西川 恋
いや、なら右手で左手に描けば?
北嶋 花霞
貸して、私が描くよ~
私は花霞にペンを渡し、☆を描いてもらう。
この調子で全員が描き終わり、次に全員で手をグーにし、前に突き出す。
吉岡 鈴華
……なんか5人だから本当に星みたいだね
西川 恋
えっと、鍵はどうする?
山本 凛星
えー、私の自転車の鍵でいいかな?
北嶋 花霞
いいんじゃない?
私は自転車の鍵を中心に置く。
西川 結萌
これで後は……願うだけ、かな?
山本 凛星
皆ちゃんと強く願ってよ?信じてないとはいえ、一応これも「現実逃避クラブ」の活動だからね?
吉岡 鈴華
ええ、分かってるわよ
北嶋 花霞
じゃあ、行くよ~!
全員目を閉じ、強く願う。
山本 凛星
(異世界に行けますように……!)
~約1分後~
吉岡 鈴華
ねぇ、これいつまでなの?
西川 恋
……何もないし、もう良いんじゃね?
北嶋 花霞
開けるよ~
山本 凛星
え、待ってもうちょっと……!
そう言い終わる前に全員目を開けた。
吉岡 鈴華
……え?
西川 結萌
……どうなってるの?
西川 恋
こんな事ってあるか?
北嶋 花霞
嘘……信じられない~!
山本 凛星
ど、どういう事……?
そこには……




























見覚えのない景色が広がっていた。
見たところ1つの空間みたいなもので、大きな扉以外、何も無いところだった。
もはや私達が元いた部屋の跡形もなかった。
西川 恋
……どーすんだよ、これ
山本 凛星
いやー、どうするって言われましても……まさか本当に成功するなんて思ってなかったし……
吉岡 鈴華
あ、ねぇねぇ!
辺りを調べていた鈴華が声を上げる。
北嶋 花霞
どうしたの~?
吉岡 鈴華
この扉、鍵ついてるよ!
西川 恋
だったらもっと絶望的じゃねぇか……どうやって出るんだよ
西川 結萌
あ……鍵!鍵ない?
おまじないで使った鍵を思い出した結萌ちゃんがそう皆に問いかける。
山本 凛星
て言ってもあれ私の自転車の鍵だよ?
そんな事を言っていると、
北嶋 花霞
あ、鍵が……
今度は近くに落ちていた鍵を見つけた花霞が声を上げた。
西川 恋
今度はどうした?
北嶋 花霞
なんか……鍵が……元の鍵じゃなくなってる……!
西川 結萌
え?それって……
鍵を見ると、元の私の自転車の鍵ではなくなっていた。
吉岡 鈴華
もしかしたらあの扉に合うかも!
鈴華が花霞から鍵を取り、鍵穴に入れる。
西川 恋
どうだ?開きそうか?
吉岡 鈴華
……あれ、おかしいな……開かない!
西川 結萌
え!嘘……
私の周りに緊張が走る。
山本 凛星
ちょっと貸して?頑張ったら開くかも!
吉岡 鈴華
いや、頑張っても鍵が合わなかったら結果は……
鈴華から鍵を受け取り、鍵を回す。
ガチャッ
山本 凛星
あ、開いた!
西川 恋
え、マジかよ!
吉岡 鈴華
嘘……私がやっても開かなかったのに……?
北嶋 花霞
とにかくこれで出られるね~!
扉は重いので、5人で力を合わせて扉を開ける。
そして扉を開けた先には……
西川 結萌
……どうなってるの?
北嶋 花霞
もう頭が追いつかないよ~……











































見たこと無いの街並みが広がっていた。

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