今、私達は広間の片付けや怪我人の看病をしている。
ニコレットちゃんはジャブイユ姉妹にこれまであったことを話していたが、ニコレットちゃんは明らかに元気がなかった。
ニコレットちゃんの表情をうかがいながら2人はニコレットちゃんを部屋へ連れて行こうとする。
ニコレットちゃんは「皆さん頑張っているのに私だけ休むなんて……」と休むことに少し抵抗があるようだ。
そう言って花霞はニコレットちゃんに後ろから抱きつく。
ニコレットちゃんは花霞に少し驚いたようだが、とても嬉しそうな顔をしていた。
そして、「それじゃあ、お言葉に甘えて……」と言い、ニコレットちゃんは部屋に戻った。ほんの少しだが、ニコレットちゃんの笑顔が戻った気がした。
早く元気になってくれますように……
そして、早く元気になってもらうためにも、「絶対にこの異変を解決するぞ!」という気持ちが私達の間で強まったのだった。
ランベールさん、貴方の目的は、何……?
そして私は、広間を離れ、"ある人"がいる部屋の前まで来て扉をノックする。
私は自分の名前を名乗り、相手からの反応を待つ。
声が聞こえたので、私は扉を静かに開け、部屋に入る。
そこにはベッドに横たわるヴィヴィアンネさんと、その前の椅子に座るロズリーヌさんの姿があった。
ロズリーヌさんはヴィヴィアンネさんのそばから離れようとしない。
実は、彼が帰ったあと、ヴィヴィアンネさんは倒れてしまったのだ。
私は少し悲しそうな顔をしていたロズリーヌさんに気遣うようにして声をかける。
私に気付いたロズリーヌさんは顔を上げ、私の方を見る。
私がそう言うと、ロズリーヌさんさんは視線の先をヴィヴィアンネさんに戻す。
そう言い、ロズリーヌさんはヴィヴィアンネさんの頭を優しく撫でた。
この2人、今更だけどどういう関係なんだろう……?
私とロズリーヌさんの声が被る。
私達の間に少しの沈黙が流れる。
私はロズリーヌさんの隣の椅子に腰掛けながら、そう聞いた。
ロズリーヌさんは、珍しく静かな声でそう言った。
私には、こう答えるしかできなかった。
ロズリーヌさんは小さめの声でそう呟いた。
ロズリーヌさんは、時々気になるような発言をする。
ロズリーヌさんは声を厳しくして私にそう問いかけた。
寝てる人がいるのに、ついつい大きな声を出してしまった。
でもそれほど、私の覚悟は決まっている、ということだ。
ロズリーヌさんは来るのかな……?
私がそこまで言うと、
……え?
私は、ロズリーヌさんはてっきり、来てくれるものかと思っていた。
それにニコレットちゃんの両親が大変な目にあってるのに……
ロズリーヌさんは顔色一切変えずに、少し強い口調でそう言った。
ロズリーヌさんが決めてしまったことなら、私には口出しすることは出来ない。黙るしか無かった。
心の中に何かモヤッとしたものが残るのを感じながら。
そう言い、私は立ち上がる。
片付けも残っているのでそろそろ行かなければ行けない時間になっていた。
ロズリーヌさんの言葉を背中で受けながら、私は部屋を出た。
ー夜ー
片付けも大方終わり、色々ひと段落ついたところで皆部屋に戻ることになった。
そしてそうこうしているうちに、もう寝るような時刻になった。
今私はベッドの枕に顔を埋めてうつ伏せている。
私はため息をつく。
今日あったことが、未だに「本当にあったことなんだよね……?」と思えるほど衝撃的だった。
私は枕を胸に抱え、そのまま抱きしめた。
こうしていると、なんだか落ち着くような気がしたから。
突然、私の部屋の扉が「ガチャッ」と音を立てて開いた。
私は驚いて咄嗟に起き上がる。
そこには花霞がいた。
私は自分の胸を抑えながら花霞に言った。
そう言うと、花霞は私のベッドに勝手に寝転ぶ。
突然のその行動に私の頭の中は?だった。
そう言われ、私はやっと理解する。
お城のベッドは広いので、2人で寝るのには十分な広さだ。
やけにテンション高いな……これが「深夜テンション」ってやつなのかな?
そして私は、花霞が満足するまで雑談に付き合った。結構楽しかったからいいけどね。
ー翌朝ー
私たちは今何をしようとしているのかと言うと……
2日後に控えた最終決戦の作戦会議とやらをしようとしている。
集まっているのは……
……とまあ、いつものメンバー+αだ。
突然鈴華からそう言われたので、
私は少し戸惑った。
打ち合わせとか何もしてないんだよなぁ……
まぁ、ここは現実逃避クラブ会長の私が頑張るしかないよね!
私は、皆の前に立ち、自分の中では元気いっぱいの声でそう言った。
ー最終決戦まで、あと 2 日ー
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。