第19話

私達の覚悟
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2020/11/27 09:00
山本 凛星
あ~……!結構疲れる~……
吉岡 鈴華
ほら、サボらないの。頑張って!
今、私達は広間の片付けや怪我人の看病をしている。
エリーゼ=ジャブイユ
ふーん、そんなことがあったのね。
ロマーヌ=ジャブイユ
国王様、大丈夫でしょうか……
ニコレット=デシャネル
今のところは、なんとも……
ニコレットちゃんはジャブイユ姉妹にこれまであったことを話していたが、ニコレットちゃんは明らかに元気がなかった。
西川 恋
……ニコレット、もう休んだ方がいい、疲れただろ?
西川 結萌
残りは私達に任せて……!
ニコレットちゃんの表情をうかがいながら2人はニコレットちゃんを部屋へ連れて行こうとする。
ニコレット=デシャネル
で、でも……
ニコレットちゃんは「皆さん頑張っているのに私だけ休むなんて……」と休むことに少し抵抗があるようだ。
北嶋 花霞
私、上手く慰められないけど、ニコレットちゃんには早く元気になって欲しいんだ~!
そう言って花霞はニコレットちゃんに後ろから抱きつく。
ニコレット=デシャネル
わ……!……はい、ありがとうございます……!
ニコレットちゃんは花霞に少し驚いたようだが、とても嬉しそうな顔をしていた。
そして、「それじゃあ、お言葉に甘えて……」と言い、ニコレットちゃんは部屋に戻った。ほんの少しだが、ニコレットちゃんの笑顔が戻った気がした。
早く元気になってくれますように……
そして、早く元気になってもらうためにも、「絶対にこの異変を解決するぞ!」という気持ちが私達の間で強まったのだった。
ランベールさん、貴方の目的は、何……?
そして私は、広間を離れ、"ある人"がいる部屋の前まで来て扉をノックする。
山本 凛星
あの、凛星です。
私は自分の名前を名乗り、相手からの反応を待つ。
???
……どうぞ。
声が聞こえたので、私は扉を静かに開け、部屋に入る。
そこにはベッドに横たわるヴィヴィアンネさんと、その前の椅子に座るロズリーヌさんの姿があった。
ロズリーヌ=アライス
………………
ロズリーヌさんはヴィヴィアンネさんのそばから離れようとしない。
実は、彼が帰ったあと、ヴィヴィアンネさんは倒れてしまったのだ。
山本 凛星
あの……ロズリーヌさん?
私は少し悲しそうな顔をしていたロズリーヌさんに気遣うようにして声をかける。
私に気付いたロズリーヌさんは顔を上げ、私の方を見る。
ロズリーヌ=アライス
……どうしたの?
山本 凛星
ロズリーヌさんの事が少し心配になって……
私がそう言うと、ロズリーヌさんさんは視線の先をヴィヴィアンネさんに戻す。
ロズリーヌ=アライス
……私はご覧の通り、大丈夫よ。全く、私がいなかったらどうなってたことやら。
そう言い、ロズリーヌさんはヴィヴィアンネさんの頭を優しく撫でた。
この2人、今更だけどどういう関係なんだろう……?
山本 凛星
あの……!
ロズリーヌ=アライス
ねぇ……
私とロズリーヌさんの声が被る。
山本 凛星
………………
ロズリーヌ=アライス
………………
私達の間に少しの沈黙が流れる。
山本 凛星
……あの、なんですか?
私はロズリーヌさんの隣の椅子に腰掛けながら、そう聞いた。
ロズリーヌ=アライス
……ごめんなさいね、すぐに駆けつけられなくて。
ロズリーヌさんは、珍しく静かな声でそう言った。
山本 凛星
いえ……!仕方ないですよ……!
私には、こう答えるしかできなかった。
ロズリーヌ=アライス
はぁ……"やっぱり"こうなってしまうのね。
ロズリーヌさんは小さめの声でそう呟いた。
山本 凛星
え?
ロズリーヌ=アライス
いえ、こっちの話よ。
ロズリーヌさんは、時々気になるような発言をする。
ロズリーヌ=アライス
ところであんたは、3日後、あの地図の場所に行くの?
ロズリーヌさんは声を厳しくして私にそう問いかけた。
山本 凛星
行くに決まってるじゃないですか!
寝てる人がいるのに、ついつい大きな声を出してしまった。
でもそれほど、私の覚悟は決まっている、ということだ。
ロズリーヌ=アライス
そう……
ロズリーヌさんは来るのかな……?
山本 凛星
あの、ロズリーヌさんは……
私がそこまで言うと、
ロズリーヌ=アライス
私は……"行けない"わ。悪いけど。
……え?
山本 凛星
な、なんでですか……!
私は、ロズリーヌさんはてっきり、来てくれるものかと思っていた。
それにニコレットちゃんの両親が大変な目にあってるのに……
ロズリーヌ=アライス
こっちにも都合があるのよ……!
ロズリーヌさんは顔色一切変えずに、少し強い口調でそう言った。
ロズリーヌ=アライス
……私に手伝えることがあれば、言うのよ?手助けなら何時でも出来るわ。
山本 凛星
………………
ロズリーヌさんが決めてしまったことなら、私には口出しすることは出来ない。黙るしか無かった。
心の中に何かモヤッとしたものが残るのを感じながら。
山本 凛星
あの、私そろそろ行きますね。
そう言い、私は立ち上がる。
片付けも残っているのでそろそろ行かなければ行けない時間になっていた。
ロズリーヌ=アライス
……そう、あんたと話が出来て良かったわ。
ロズリーヌさんの言葉を背中で受けながら、私は部屋を出た。






ー夜ー
片付けも大方終わり、色々ひと段落ついたところで皆部屋に戻ることになった。
そしてそうこうしているうちに、もう寝るような時刻になった。
今私はベッドの枕に顔を埋めてうつ伏せている。
山本 凛星
はぁー……
私はため息をつく。
今日あったことが、未だに「本当にあったことなんだよね……?」と思えるほど衝撃的だった。
山本 凛星
………………
私は枕を胸に抱え、そのまま抱きしめた。
こうしていると、なんだか落ち着くような気がしたから。
突然、私の部屋の扉が「ガチャッ」と音を立てて開いた。
山本 凛星
わ……!?
私は驚いて咄嗟に起き上がる。
北嶋 花霞
あ……ごめんごめん(笑)驚かせちゃった?
そこには花霞がいた。
山本 凛星
驚くどころじゃないよ……心臓飛び出るかと思った……!
私は自分の胸を抑えながら花霞に言った。
山本 凛星
で……?どうしたの?
北嶋 花霞
いやぁ~……なんか、寝れなくてね。
そう言うと、花霞は私のベッドに勝手に寝転ぶ。
山本 凛星
いや……え?
突然のその行動に私の頭の中はハテナだった。
北嶋 花霞
ほら、一緒に寝よ!なんか修学旅行みたいでしょ?
そう言われ、私はやっと理解する。
山本 凛星
もー、仕方ないなぁ……(笑)
お城のベッドは広いので、2人で寝るのには十分な広さだ。
北嶋 花霞
で、どうする?恋バナでもする?
やけにテンション高いな……これが「深夜テンション」ってやつなのかな?
そして私は、花霞が満足するまで雑談に付き合った。結構楽しかったからいいけどね。






ー翌朝ー
吉岡 鈴華
よし、みんな集まってるね?
私たちは今何をしようとしているのかと言うと……
西川 恋
ランベールあいつ……絶対にぶっ飛ばしてやる……
西川 結萌
恋……ちょっと落ち着こうか……
北嶋 花霞
で、どんなことを話すの?
2日後に控えた最終決戦の作戦会議とやらをしようとしている。
集まっているのは……
ニコレット=デシャネル
えっと……まだ具体的には何を話し合うのかは未定ですね……
ロズリーヌ=アライス
私ヴィヴィアンネのことで忙しいんだけど……ま、仕方ないわねぇ……
エリーゼ=ジャブイユ
珍しいわね、貴方達が招集をかけるなんて。
ロマーヌ=ジャブイユ
なんだか少しワクワクしますっ!
……とまあ、いつものメンバー+αだ。
吉岡 鈴華
よしよし、皆集まってるわね。んじゃ、凛星、進行お願いね。
突然鈴華からそう言われたので、
山本 凛星
……え?
私は少し戸惑った。
打ち合わせとか何もしてないんだよなぁ……
まぁ、ここは現実逃避クラブ会長の私が頑張るしかないよね!
山本 凛星
それでは、これから会議を始めます!
私は、皆の前に立ち、自分の中では元気いっぱいの声でそう言った。






ー最終決戦まで、あと 2 日ー

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