第7話

星空の下、みんなの本音。
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2020/09/10 09:00
夜ご飯を食べ終わり、お風呂にも入り終わった。
部屋を案内してもらい、部屋に入ると、
山本 凛星
わぁ……!
と、思わずこぼれてしまうような部屋だった。
窓を開けると、星空が広がっていた。
山本 凛星
……ここ、何処なんだろう
ここは地球のどこかなのか、別の惑星なのか、2次元なのか、全部私の夢なのか……
そんな事を考える。
何故か星空を見ると、考え事をしてしまう。
小さな事じゃなくて、大きな事。
例えば、私の人生はこれでいいのか。将来どんな仕事につくのか。
昔からそうだ。星空を見ると、ワクワクするけど、どこか寂しいような、切ないような……そんな気持ちになる。
星を見ながら物思いにふけっていると、「コンコン」というノックの音。
山本 凛星
は~い、どうぞ?
あ、誰かも分からないのにどうぞって言っちゃまずかったかな……
そんな事を考えているうちに、ドアが開く。
山本 凛星
……鈴華!?
私が少し大きな声で言うと、鈴華は唇に指をあて、「静かに」というジェスチャーをする。
山本 凛星
鈴華……どうしたの?
今は恐らく夜の11時頃。いつもならもう夢の中だ。
吉岡 鈴華
ちょっと……眠れなくて
どうやら眠れないのは鈴華も同じみたいだ。
山本 凛星
そっかー……
そして暫く沈黙が続く。
山本 凛星
にしても……
星が綺麗ですねぇ……
気まずいので何か話題を……!
そう思い、独り言のように呟いた。
すると、
吉岡 鈴華
ふふっ、「星が綺麗ですね」って、「貴方は私の気持ちを知らないでしょうね」って意味なんだよ?(笑)
えー!知らなかったぁ……
吉岡 鈴華
他にも、「貴方に憧れています」って意味もあった気が……
山本 凛星
うーん、好きな人に使ってみよっかな!
吉岡 鈴華
え、凛星にも好きな人とかいるの?(笑)
山本 凛星
さぁ、どうでしょー(笑)
2人で星を見ながら少し盛り上がっていると、また「コンコン」とノックの音。
吉岡 鈴華
ん?誰だろ……
すると少しドアが開き、チラッと顔が見える。
北嶋 花霞
あの、私も混ぜて~
西川 結萌
私もいいかな……?
西川 恋
少し、眠れなくて。
山本 凛星
え?あ、うん。いいよー!
すると皆私の方へ集まってくる。
吉岡 鈴華
何気にパジャマで集まるの初めてじゃん(笑)
西川 結萌
星、見てたの?
山本 凛星
うん、綺麗だなーって
北嶋 花霞
……私達、帰れるの?
珍しく花霞が少し暗い声でそう言う。
西川 恋
さあな、分からん
山本 凛星
……ごめんね、私が異世界に行きたいって言わなければ……
吉岡 鈴華
もー!どうしたの?凛星らしくない……
山本 凛星
実は、ずっと責任感じてたんだ、ごめんね、こんなんじゃリーダーなんて……
「失格だよね」
と言おうとすると、鈴華に突然ほっぺたを引っ張られた。
山本 凛星
ひ、ひほ?ひはひほ?
西川 恋
いや、何言ってんのか分かんねーよ……
吉岡 鈴華
もー!凛星、なんで私が凛星にリーダー任せたかわかる?
私が黙っていると、鈴華はそのまま続ける。
吉岡 鈴華
明るくて、みんなの事を引っ張って行けそうだと思ったから!
山本 凛星
へ……?
鈴華はやっと手を離し、私を見つめる。
吉岡 鈴華
だからそんなマイナスな事言わないでよ……私達のムードメーカーであり、リーダーなんだから!
北嶋 花霞
うんうん、そうだよ~
西川 結萌
凛星ちゃんにはいつも、元気づけられてるよ……!
西川 恋
まぁ、ありがとな。
山本 凛星
み、皆……!
私が感動していると、
吉岡 鈴華
……て言っても、すぐ調子乗るし、大事なとこ抜けてるし。
山本 凛星
……え?
北嶋 花霞
結構やらかしてるよね~
山本 凛星
花霞……?
西川 恋
ムカつく時もあるし……
西川 結萌
その、結構振り回される……
山本 凛星
お、おーい?
私が困惑していると、鈴華が「はぁ……」と溜息をつき、私に向き直る。
吉岡 鈴華
でも、そんな凛星でも、皆が笑ってるのは、皆凛星が大好きだから!だから凛星はそのままで大丈夫なの!
山本 凛星
もう、褒めたいのかそうじゃないのかはっきりしてよ~!
私がそう言うと、皆が笑う。皆、笑ってる。
そっか……私はこれでいいんだ。
吉岡 鈴華
凛星、これからもよろしく。
山本 凛星
うん!もちろん!
そして皆で笑っていると、恋が
西川 恋
……で、鈴華も隠してる事あるんじゃないか?
吉岡 鈴華
ん?何が?
山本 凛星
だから、最近元気なかったじゃん!
北嶋 花霞
バレバレだよ~
西川 結萌
何があったの……?
皆が鈴華に注目する。
吉岡 鈴華
……はぁ、皆に隠し事は出来ないね、言うよ。
鈴華は「参った!」と言う感じで少し笑う。
皆は静かに鈴華の話を聞こうとする。
吉岡 鈴華
……私と凛星のクラスに結構うるさい集団っていうか……パリピな集団っていうか……カーストが上の方の女子が居るんだけど、分かる?
「パリピな集団」っていうのに笑いそうになるが、こらえる。
西川 恋
うん、知ってる。
吉岡 鈴華
実はね……その人達にお金、取られてるんだ。
北嶋 花霞
……え?
西川 結萌
本当……?
吉岡 鈴華
うん。「先生の前だけでいい子ぶってんじゃねーよ」とか、「空き教室使ってるのバラす」とか、色々言われて……
鈴華の目から涙が零れる。
吉岡 鈴華
先生に……空き教室使ってるのバラされたら……皆にも……迷惑かかると思って……
言葉が所々つっかえる。
吉岡 鈴華
それで悪口言われて脅されて、無理やり……
山本 凛星
……そっか
吉岡 鈴華
あ、て言っても、ほんの1部の子達だよ?2、3人位の子達で……
2、3人か……
西川 恋
はー、いい子ぶってんのはどっちなんだか……
山本 凛星
てゆうか、そんな事なら早く言ってよ~!
北嶋 花霞
そんな子達ならぶっ飛ばして差し上げるから!
花霞が笑顔で物騒なことを口にする。
山本 凛星
おぉ……怖い怖い
西川 恋
花霞って時々怖いよな……(笑)
皆が少し笑い、場が和む。
西川 結萌
でも、鈴華ちゃん自体には傷とかなくて良かったよ~……
吉岡 鈴華
うん、流石に暴力はなかったよ
山本 凛星
不幸中の幸いってわけね……
西川 恋
……これで、皆隠し事とかは無しか?
吉岡 鈴華
うーん、どうだろうね(笑)
北嶋 花霞
流石にまだあるんじゃない?(笑)
西川 恋
ま、今日はこの辺だな……ふぁ~、眠くなってきたわ
西川 結萌
だね、私も……
山本 凛星
え、ここで寝るの?
吉岡 鈴華
いーじゃん、ベッド広いんだし……
北嶋 花霞
よし、寝るか~!
一同
おやすみ~!
そして私達は眠りに落ちた。
でもこの一部始終を見ている者が居た。
その時、私達はまだ気づいていなかった。
この世界を大きく揺るがす異変が今、起こっているということを……
???
……早めに対策を打っておいた方が良さそうだな。
さあ、この先一体どうなるのだろうか……
山本 凛星
んー、知らないよー、誰か食べたんじゃないの?(寝言)
……これはまだ、始まりに過ぎない。

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