第2話

現実逃避クラブ、最初の活動は?
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2020/09/05 09:00
先生
月曜日は体育あるから体操服忘れるなよー
今日はこれで終わり、気をつけて帰れよ~
クラスメイト
さよーならー
やっと学校終わったー!
5、6時間目って異様に長く感じる……
待ちに待った放課後。
「現実逃避クラブ」最初の集まり……すっごい楽しみ!
山本 凛星
鈴華ー!一緒にいつものとこ行こー?
私は鈴華に声を掛ける。
どうせなら一緒に行きたいしね!
吉岡 鈴華
あ、凛星!……ごめん、先行ってて?
山本 凛星
えー!一緒に行きたかったなぁ……ま、しょうがないか
にしても……鈴華、放課後
「先行ってて」
ってここ最近いつも言ってる……忙しいのかな?
山本 凛星
……大丈夫?
吉岡 鈴華
え?何が?
山本 凛星
最近いつも放課後どこかに行ってるじゃん?忙しそうだなーって……
て言ってもすぐ戻ってくるし、大丈夫だとは思うけど……
山本 凛星
それに鈴華、ここ最近元気ない気がして……気の所為かな?
吉岡 鈴華
えー!何言ってんの?(笑)
全然大丈夫!
山本 凛星
……だよね!(笑)
鈴華は
「まさか凛星に心配される時が来るとはねー」
とか言いながら自分の荷物を持つ。
吉岡 鈴華
じゃ、私ちょっと行ってくるね!
山本 凛星
はーい
そして私も荷物を持ち、
私と鈴華はお互い別々の方向へ歩き出した。
私はいつもの空き教室へと向かう。
いつもの空き教室は最終下校の時刻までなら先生に怒られずに使うことが出来る。


て言っても、先生にバレないように私達が鍵持ってるからバレなければいつまでいてもOKなんだけどね~


見回りとかが怖いし私達はなるべく全部の部活が終わるまでに切り上げることにしている。
ちなみに私達以外に私達が空き教室使ってるのを知ってるのは……カーストが上の方の女の子達かな?
山本 凛星
あの女の子達、怖いんだよな~
もし、鈴華が今一緒にいたら
「凛星に怖いものなんてないでしょ~(笑)」
とか言われてたんだろうな~
とかそんな事を考えながら1人でニヤニヤしていると空き教室に着いたのでドアを開ける。
山本 凛星
……お?私一番乗りかな~?
どうやらまだ誰も来ていなかったようだ。
私はいつもの場所に荷物を下ろす。
山本 凛星
あ、どうせなら……
私は黒板の前に立つ。
黒板には、短くなった白、赤、黄などの短いチョークが置かれている。
そして私は白色のチョークを持ち、黒板に大きく「現実逃避クラブ」と書く。
北嶋 花霞
お~!いいね~
声がしたので振り返ると、ドアの前に花霞が立っていた。
山本 凛星
あ、花霞!
北嶋 花霞
あれ、鈴華は?
花霞は辺りを見回し、ここには私と花霞しかいないことを確認し、適当な机に荷物を置いた。
山本 凛星
んー、なんか用事?があるみたいで
北嶋 花霞
そっか~……最近いつもそうだけど大丈夫かな?
花霞も私と同じく鈴華を心配しているようだ。
北嶋 花霞
それにしても黒板、いいね~!
あ、もうひと工夫して……
そう言い、花霞は赤や青など、色の着いたチョークで花や星など、絵を描いていく。
西川 結萌
わ、可愛い……!
西川 恋
やっぱ花霞って絵上手いよな~、憧れるわ~
西川姉妹も集まってきた。
2人は花霞の描いた絵を見て目を輝かせている。
北嶋 花霞
そんな……大したことないよ~(笑)
花霞は照れくさそうに笑う。
山本 凛星
いいなぁ~!私もなんか才能あればな~!
私が羨ましそうに嘆くと、3人は少し笑った。
吉岡 鈴華
あ、遅くなってごめんね……
西川 恋
おー、鈴華
西川 結萌
鈴華ちゃん!
私達が話していると、鈴華も用事を済ませて来たようだ。
そして西川姉妹と鈴華も机に荷物を置き、黒板の前に集まってきた。
北嶋 花霞
よし、メンバー全員集まったね~!
山本 凛星
「現実逃避クラブ」、最初の集まりだね!
吉岡 鈴華
あ、黒板可愛いね!
西川 結萌
花霞ちゃんが描いたんだ……!
山本 凛星
「現実逃避クラブ」は私が書いたんだ~
西川 恋
相変わらず字下手だなー
山本 凛星
えぇっ!
北嶋 花霞
恋……(笑)
吉岡 鈴華
よし、始めましょうか!
鈴華がそう言うと、鈴華以外が適当な椅子に座った。
北嶋 花霞
そうだね~
西川 結萌
えっと……何から決めるの?
山本 凛星
やっぱりまとめる為にリーダーとか?
西川 恋
そうだな……
リーダーか……ここは鈴華がいいかな~?
山本 凛星
やっぱり鈴華じゃない?
吉岡 鈴華
んー……私は凛星がいいと思うけどな~?
私はこれに結構驚いた。
鈴華が私がいいと言ってくれるのは正直意外だったから。
北嶋 花霞
何か理由とかあるの?
吉岡 鈴華
いや、まぁ……このクラブ作ったのは凛星、だし?だから任せてもいいかなーって
西川 結萌
私も凛星ちゃんがいいと思う……!
西川 恋
でも凛星だけだったら少し心配だし副リーダーに鈴華って言うのはどうだ?(笑)
山本 凛星
ちょ、心配ってどういう意味(笑)
北嶋 花霞
じゃあリーダーは凛星、副リーダーは鈴華ね
西川 恋
じゃあリーダー、進行頼むわ
そんないきなり進行って言われてもなー……
活動内容とか、かな?
山本 凛星
えっと、それじゃあ次は活動内容について!
私は黒板の前に立っている鈴華の隣に立ち、進行を務める。
吉岡 鈴華
現実を忘れるって、具体的にどうするの?
山本 凛星
うーん……皆何かやりたい事とかない?
北嶋 花霞
いや~……急には思いつかないかな……
西川 結萌
わ、私達だけじゃ……出来ることってかなり、限られてくるんじゃない?
吉岡 鈴華
そうよねー……
西川 恋
そもそも凛星は何かないのか?
山本 凛星
私……?
うーん……
現実を忘れる為にやりたい事……
そういえば、この前雑誌に「異世界に行けるおまじない」って言うの見つけたな~……
ちょっと興味あるかも。
山本 凛星
異世界に……行ってみたい
吉岡 鈴華
……は!?
西川 恋
いや、どうした……
西川 結萌
異世界……?
北嶋 花霞
ちょっとよく分からないなぁ……
4人は予想通りの反応だ。
そりゃ、自分でもよく分からないよ……
山本 凛星
とりあえず!明日の土曜日私の家に来て!
吉岡 鈴華
何時頃?
山本 凛星
じゃあ、10時頃に!どうせならお昼ご飯も食べて行ってよ!
西川 結萌
凛星ちゃんのお家……初めて……
西川 恋
なんか必要な持ち物とかあるか?
北嶋 花霞
特に無いんじゃないかな?
山本 凛星
まぁ、詳しい事はスマホで連絡する!
吉岡 鈴華
それじゃあ、今日は解散かな?
山本 凛星
そうだね
北嶋 花霞
でもまだ少し時間あるしちょっと遊ぼうよ~
西川 恋
じゃあ、鬼ごっことか?
西川 結萌
室内だから無理だよ……(笑)
そして私達は少し雑談して楽しんでから解散した。
この時はまだ誰も予想していなかっただろう。
山本 凛星
異世界に……行ってみたい
私がそう言ったあの時既に、異世界への扉を開きかけていたなんて。































「現実逃避クラブ」の活動は、まだ始まったばかり。

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