やっと学校終わったー!
5、6時間目って異様に長く感じる……
待ちに待った放課後。
「現実逃避クラブ」最初の集まり……すっごい楽しみ!
私は鈴華に声を掛ける。
どうせなら一緒に行きたいしね!
にしても……鈴華、放課後
「先行ってて」
ってここ最近いつも言ってる……忙しいのかな?
て言ってもすぐ戻ってくるし、大丈夫だとは思うけど……
鈴華は
「まさか凛星に心配される時が来るとはねー」
とか言いながら自分の荷物を持つ。
そして私も荷物を持ち、
私と鈴華はお互い別々の方向へ歩き出した。
私はいつもの空き教室へと向かう。
いつもの空き教室は最終下校の時刻までなら先生に怒られずに使うことが出来る。
て言っても、先生にバレないように私達が鍵持ってるからバレなければいつまでいてもOKなんだけどね~
見回りとかが怖いし私達はなるべく全部の部活が終わるまでに切り上げることにしている。
ちなみに私達以外に私達が空き教室使ってるのを知ってるのは……カーストが上の方の女の子達かな?
もし、鈴華が今一緒にいたら
「凛星に怖いものなんてないでしょ~(笑)」
とか言われてたんだろうな~
とかそんな事を考えながら1人でニヤニヤしていると空き教室に着いたのでドアを開ける。
どうやらまだ誰も来ていなかったようだ。
私はいつもの場所に荷物を下ろす。
私は黒板の前に立つ。
黒板には、短くなった白、赤、黄などの短いチョークが置かれている。
そして私は白色のチョークを持ち、黒板に大きく「現実逃避クラブ」と書く。
声がしたので振り返ると、ドアの前に花霞が立っていた。
花霞は辺りを見回し、ここには私と花霞しかいないことを確認し、適当な机に荷物を置いた。
花霞も私と同じく鈴華を心配しているようだ。
そう言い、花霞は赤や青など、色の着いたチョークで花や星など、絵を描いていく。
西川姉妹も集まってきた。
2人は花霞の描いた絵を見て目を輝かせている。
花霞は照れくさそうに笑う。
私が羨ましそうに嘆くと、3人は少し笑った。
私達が話していると、鈴華も用事を済ませて来たようだ。
そして西川姉妹と鈴華も机に荷物を置き、黒板の前に集まってきた。
鈴華がそう言うと、鈴華以外が適当な椅子に座った。
リーダーか……ここは鈴華がいいかな~?
私はこれに結構驚いた。
鈴華が私がいいと言ってくれるのは正直意外だったから。
そんないきなり進行って言われてもなー……
活動内容とか、かな?
私は黒板の前に立っている鈴華の隣に立ち、進行を務める。
うーん……
現実を忘れる為にやりたい事……
そういえば、この前雑誌に「異世界に行けるおまじない」って言うの見つけたな~……
ちょっと興味あるかも。
4人は予想通りの反応だ。
そりゃ、自分でもよく分からないよ……
そして私達は少し雑談して楽しんでから解散した。
この時はまだ誰も予想していなかっただろう。
私がそう言ったあの時既に、異世界への扉を開きかけていたなんて。
「現実逃避クラブ」の活動は、まだ始まったばかり。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。