早歩きでボスがいる部屋に向かった後、ノックを三回すると入室を許可されたので一つ断りを入れてから入室する。
にこり、と笑ってそう言うとボスは露骨に顔を嫌そうにしかめる。疑っているのだろうか、本心であるというのに失礼なお方だ。
今度はニヤニヤとわらう。表情がわかりやすいんだから。まあ信頼の表れであるから何も言わないが、だらしない顔は正直やめて欲しいと思っている。
ぱちくりと目を大きく開いて、直ぐに大きな口を開けて笑い出す。
きっと、あの任務がなければ私はずっと尊敬する人に勘違いされたままだったから、行ってよかったに決まっている。
どこやったかな、と探し始める。オススメなら普通すぐわかる場所に閉まっておいた方がいいのでは、と思うがそんな意見は机の上に大量の紙が置かれた音でかき消されてしまう。
まさか、と思いつつ一応確認すると私の強ばった顔とは対照的に満面の笑みを浮かべる。
そう答えるしか道は残されていなかった。






![[完]どうか 、さめないで](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/9fc54c16d9a98f5dbc36d5fc3d9e98f88ba82c89/cover/01HW23191G4D1RGJDVHTC65KHP_resized_240x340.jpg)





編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!