第18話

猫人間と裏社長
987
2020/09/03 09:45
(最近猫ネタ多くてすみません。猫派なもので…)
(け、決してネタ切れではないですよ!Σ(・∀・Ⅲ))

※翔くんかなりワルになってます









翔side



俺は、孤児として生きてきた。

子どもん頃に親も祖父も祖母も妹も弟も事故で亡くし、孤児院に入った。


孤児院は酷いところだった。

食事も寝床もろくに与えてくれない、俺は事故のせいで顔も体もボロボロ、包帯だらけ。嫌われ者だった。

夜は、床で眠っていた。寒い日にはボロボロの布を見つけて、被って…

昼には責任者どもの残飯を食べる毎日。ある日には雑草だって食べて、吐いて。

…だが、その日は違った。

死んだ目をしながら残飯を食べに行ったら、1匹のネコが迷い込んでいた。


翔「んだよコイツ。邪魔だどけ」

「みゃ〜ん」

翔「俺に近づくな!」

「みゃー!みゃん!」

翔「!」


そのネコは、俺の足に顔を擦り付けてきた。

翔「なにすんだよ!」

「みゃっ!!!!!」

ネコは、何回振り落としても、俺に近寄ってくる。

「みゃ〜〜〜〜」

「あ?今猫の声しなかったか?」

「え?気のせいだろ」

「そうか…?」


翔(まずい!)

見つかると面倒だ。俺はネコを抱えて逃げた。



翔「てめぇのせいでアイツらに見つかるところだったじゃねぇか!」

翔「どうしてくれんだよ!」

「みゃ〜ん」

翔「……あ?」


ネコは体を回転させ、尻尾を見せた。

翔「んだよ…」

ネコの手は、上下に動いていた。

翔「引っ張れ、ってことかよ」

「みゃ!!」

翔「チッ」



ギュッ!⬆



ボフン!!!


翔「っく!」

翔「なんだ!?」



「みゃー!!!やっと人間に戻れたにゃー!!!」


翔(ネコが…………喋った…………!?!!?)

「あ、君。ありがとにゃ」

「お礼にすりすり…翔「近寄るな!!!!」!」

翔「化け物が!」

潤「…化け物じゃないにゃ!僕は潤という名前があるにゃー!」

翔「どっちにしろてめぇは猫耳尻尾が生えてんじゃねえか!化け物に変わりはねぇ!」

潤「ひどいにゃあ、しょおくん」

は?

なんでコイツ、俺の名前知ってんだよ?

潤「あ、それはだにゃ、僕は心が読めるんにゃ〜!なぜかって?異星人だから決まってるにゃ〜!!ฅ(>ω<*ฅ)」

マジのヤバいやつかよ

こんなやつとっとと追い出した方が身のためだ。

翔「今すぐ出ていけ!それか俺に殴られたいのか?」

潤「ボクは、しょおくんが "今はまだ” そんな悪〜いことしないってわかるにゃあ」

翔「はぁ?まだってどういうことだよ」

潤「いいからいいから、ボクと一緒にいた方がいいよ?」

翔「なぜだ!」

潤「しょおくんはこれからの人生も、随分苦しく大変なことがあるにゃあ、でもその度にボクのチカラが頼りになるにゃあ」

翔「意味わかんねぇよ」

潤「しょおくんは、ここにいる人達を恨んでるにゃあ?」

翔「あたりまえだ!!!あんなクズども…」

潤「まあ聞いてにゃ。その人たちを見返してやりたいでしょう?」

翔「見返す以上のこともやりてぇけどな」

潤「そのためには、ボクが必要にゃ。しょおくん1人では…」


潤「断言出来るにゃ。100%ムリにゃ」


翔「チッ、ざけんなよ、てめぇなんかのチカラ借りなくてもできる」

潤「じゃあまずは何をするべきかわかるのかにゃ?」

翔「っ…………」

俺は黙りこくってしまった

潤「ボクのチカラが、ほしいかにゃ?」




翔「ああもうめんどくせぇな!!!わかったよ!」

潤「ふふふ…」


潤の話を聞くと、アラネコ星とかいうとこからやってきたらしく、潤の一家はその世界ではかなり有名な一家なんだそうだ。

なぜやってきたのか聞くと、向こうの生活に飽きたらしい。意味がわからないな。


翔「てかお前、どんなチカラ持ってんだよ」

潤「さっきみたいに相手の心を読んだり、能力を知ったり、個人情報だってなんでもわかるにゃ」

翔「ふぅん…」

なかなか使えそうだ。




潤「あ!あと子どもも産めるにゃ」



は?

翔「てめぇ男…いやオスじゃねぇか」

潤「これもボクのチカラなのにゃ」

翔「はーもういい。頭が痛くなってくるわ」

潤「にゃ〜ん」

今日はもう寝よう



それから3年後、俺と潤はこの孤児院から抜け出した。

身寄りのない俺達には、俺らが腹を好かせて道に倒れていたところを、たまたま歩いていたおじいちゃんのところに寝泊まりさせてもらっていた。

そのおじいちゃんは、家族のいない俺と潤にとってはお父さんでもあり、お母さんでもあった。


おじいちゃん「翔や、お庭の花に水をやってくれたんだな。ありがとう」

翔「あぁ…」

潤「しょおくんったら、いい子じゃない」

翔「う、うるせぇ!」

おじいちゃん「ほっほっほっ……ゴホゴホ…夕ご飯ができたよ。一緒に食べよう」

おじいちゃんの作ったご飯は、物凄く美味しかった。

それに…………なぜか、懐かしい味がした。



更に10年後。

優しかったおじいちゃんは、持病で亡くなった。すごく悲しかった

でも俺は、潤の助けもあって一流大学に入学した。

しかも俺は空手を始めた。


それと……………銃の使い方も。




数年後、俺は若くして…闇会社の社長になった。

闇金、取引、借金……………

その "おかげ" で、俺は随分と金持ちになっちまった。

あの孤児院のやつらは、勿論俺が直々にボコってやったよ。


そんで潤とは………



潤「しょおくん、おかえりなさいにゃ」

翔「ああ、ただいま」

チュッ


その通り、付き合っている。



この想いを感じたのは大学に入ってから…

潤の唇が、身体が、全てが、あまりにも魅力的なのが悪いんだよ。



ハジメテは勿論俺の部屋。

超高級ホテルのスイートルームに住み着いている。

特にガラスからの眺めがすごく綺麗と潤は言っていたな。

その思いをよそに、俺は潤を寝室へ抱き上げた。



潤「にゃぁ………しょお………くん…」

翔「…眠いか」

潤「にゃ…」

翔「俺はまだやる事があるから、先に寝ててくれ。後で行くよ」

潤「やくそくだよ?(;_;)」

翔「勿論」

潤「ん…ぉやすみなさい…」

翔「おやすみ、潤」






いつも独りぼっちだった俺は、潤と出会って180度人生が変わった。

こうして今は潤と一緒に生きていけて幸せだ。




{アラネコ星のとある病院}


泣き声が聴こえる。

あれは…絶対に間違えるはずがない。



愛おしい俺たちの子どもたちの泣き声。



翔「潤!!!」

潤「しょお………くん………、ぼく…頑張ったにゃ………」

翔「ありがとう、ありがとう潤…」

『ほら、赤ちゃんだっこしてあげてください^^』

初めて抱える我が子たち…

元気な男の子と女の子。

この2人…いや2匹…か。

今はまだ、ネコの姿のままだが、成長すれば段々と人間にも化けられるだろう。

潤「にゃぁ…かわいいね……」

翔「……そうだなっ、」

潤「にゃ?しょおくんったら、泣いてるのぉ?(´∀`)」

翔「…泣いてねぇよ」

潤「にゃはは……………ごめん。なんか眠くなってきちゃった」

翔「!そうか…潤、もう寝てていいよ。疲れただろう」

潤「うん…ありがとう、おやすみなさい…3人とも」

翔「ああ、おやすみ」




レナ「にゃっ!お兄ちゃんずるいにゃ!わたしのボール!」

ルラ「へへーん!捕まえてみろーにゃ!」

潤「も〜、そんなに暴れないでにゃ?(*´艸`)」

翔(コーヒーを飲みながら3人を眺める)


レナ「まま〜!ご本読んでにゃ!」

ルラ「ぱぱ〜!あそんで!」

潤「いいにゃんよ、レナ」

翔「いいぞ。なんの遊びしたい?」


俺らは幸せな4人家族だ。

…まぁ、俺の仕事については聞かれても答えないようにしてるけど。


レナとルラが寝た頃に、俺と潤は一緒に風呂に入る。

翔「潤、今日もおつかれ」

潤「ふふ、しょおくんもにゃぁ」



ドサッ

翔「潤…」

潤「しょおくん………」






fin

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