キーンコーンカーンコーン、とチャイムが鳴り終え、
移動教室だった俺らは教室へと歩き出す。
寝てただけだろ、笑
悠燈が急に立ち止まる。
そっか、試合とテスト被ってんだ、可哀想に。
頭悪いもんな、こいつ。
って言う程俺も頭良くねぇけど、まぁ…こいつよりかは…
スタスタと先に階段をおりる。
と、背中に飛び乗ってくる。
と、俺の背中からおりて気合を入れてる。
うるせぇ…まじ、こいつ…耳潰れる。
と、横から声がする。
言うな。悠燈。言うな、
俺は知らない、俺は知らない、俺は知らな……
見なくても奏斗からの視線を感じる。
『 優にあんな事やこんな事を…』
ただの勉強だろ?
いや、待て…確か1回だけ数学が妙に高い時があったな…
でもそれ以外は60点とか、中の中くらいだった…
ただ1回の1教科の点数で判断されたのか!?
『 優勉強も出来るんだ…俺も100点とれるかな…✨』
勉強もってなんだ、「も」って…
誰も100点とったなんか言ってねぇだろ、
ダメだこいつ。
弟くんがいるのはまずい。
いつ刺されるか分からん。
『 なんでそんな静かなとこ…優…鬼だ…』
おい、俺と図書館に謝れ。
早く行けと、背中を押す。
お前より頭いいと思うけど、まぁ、確かに
テストって3文字聞くだけで気分下がるわ。
と、愚痴愚痴テストについての文句を言いながら
教室に戻ってくる。
自分の席に座って、次の授業の準備をする。
これ終わったら昼か…傘、返さなねぇとな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!