まぁ、悠燈のおかげで一旦緊急事態はしのいだ。
が、明日からこいつと2人きりが続くのか…
かなりまずいな…さっきも曖昧な返事で終わったし…
と、全然進んでなかった奏斗の手がすすみ、
口の中へと食い物が消えていく。
ッ…なんか、こいつ機嫌悪くないか…、気のせいか…
皆の手が空いたのを確認してから言う。
『 俺との… 』
こんの、バカッ、
奏斗の言葉を遮る。
もうお前何も言うな、まじでやめろッ、頼むからッ
と、悠燈が走って教室に帰っていく。
危ねぇ…乗り切った…、
こんな心臓バクバクしたの初めてだっつーの、
『 返事…』
まだそんなこと言ってんのかよ、
『 ッ…勘違い…… 』
キーンコーンカーンコーンと、予鈴のチャイムが鳴る。
ー
ーー
ーーー
結局奏斗はコンビニに来なかった。
現実じみたこと言ってやったからな、
あいつももう諦めただろ。
支度をして、裏口から出ると奏斗がいた。
『 だから、待ってた… 』
双葉さん…大丈夫です、ほんと。
そう言う気遣いいらないです…
つか、こいつも鋼のメンタルかよ、
害を加えられてねぇからな…迷惑とも言いきれん。
『 危ないからちゃんと送ってあげたいのに…』
俺は女か。お前のその考えが危ねぇよ、
俺がお前の帰り心配すんだろ、
つか極力家バレは避けたい…何するか分からんからな…
お前が引き下がれ、俺は譲らん。
『 やった 』
負けた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。