あなたside
ヴーヴーヴー
今まで繋いでいた弔くんとの通話を切った。
その途端私の頬を温い液体が伝った。
この声を、
この言葉使いを、
もう聞けなくなる日が1~2年後に訪れる。
最近そういう事ばかり考えてしまう。
気分転換に雄英のセキュリティに潜入し、
ハッキングをしてみる。
でも………
悲しみ、絶望の中コンピューターを弄り続ける。
ー画面表示
□――――――――――――□
Ⅰ 侵入に成功しました。 Ⅰ
□――――――――――――□
〘物事が上手く回り過ぎると不幸が訪れる〙
とはこの事か。と益々不安が積もる。
私がかかったのは"不安を抱える個性"の個性事故なのでは?と錯覚する程に
お風呂に入って、
歯磨きをして、
髪の毛を乾かして、
布団に潜る。
布団の中でたくさんたくさん涙を零した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!