_愛華ver.__
今日こそはちゃんと聞くんだ。
ちゃんと伝えるんだ。
彰人に好きな人はいるのか…
その好きな人というのは…梨央奈なのかッ…
ここまで私を導いてくれたのは光希だ。
その光希にちゃんと感謝の言葉に言わないと…
先に光希に会いに行こっかな…
今まで背中を押してくれてありがとうって。
今日……私の恋の行方が決まるって…こと。
2人しかいない教室。
みんな部活に行っている。
今日私は少し遅れるとだけ伝えてきた。
光希や彰人に話すのは…今日と決めてたから。
いや。
これはちゃんと口にしないといけないことだった。
そうしないと…一生後悔しそうだから。
光希にありがとうって言うタイミング…
逃しちゃいそうだから。
光希に怒る…?
そんな事するわけないし、
光希も今まで私にそんなことしてこなかった。
それほど…重大なこと…?
_光希ver.__
今日こそは…ちゃんと愛華に言わないといけない。
私は彰人のことが好きだって。
じゃないと私…耐えられない……
愛華に嘘つき続けるなんてできない。
愛華を騙し続けるなんてできない。
ちゃんと…自分の口で…言わないとッ……
心臓バクバク言ってる…
言っていいの…?本当に?
後悔しないの?
愛華に嫌われない?
……大丈夫。
愛華を…信じれば…
愛華は本当に気づかなかったみたい。
すごく不思議な顔をしている…
あぁ…やっぱり怒られちゃうかな……
そうだよね…
私は隠してていい子の振りをしてたのかもしれない。
隠して2人を応援していれば…
いつか私に恩が返ってくると思ってたのかな。
愛華が…泣いてる…
どうして…?
"辛い思いさせてごめん"
その言葉は…
本物だった。
愛華は嘘をつかない。
私には。
絶対に。
こんなに優しい人だって信じて…よかった。
けど一瞬だけ…愛華を信じれなかった。
そんな自分が…嫌いだ…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!