_響Ver.__
……寒くなってきたな…
夏も嫌いだけど冬も嫌いだ。
なんやかんや時は過ぎて、
登校はよく一緒にするようになった。
下校はなかなか時間が合わないから
一緒に帰ることはない。
……は?
いきなりなんだこいつは。
今上着の話をしてたんじゃないのか?
それに、なんで今…
……いるのか。
やっぱり同級生だろうか。
少し期待して聞いた俺が馬鹿だったな。
現実を知って何になる。
しかも俺も相手を突き放すかのような
言葉を言ってしまった。
本当に馬鹿なんだな…お前は。
俺はお前が好きなのに_
_梨央奈Ver.__
響さんには好きな人がいるんだと知った。
馬鹿な人だと響さんは言った。
そういう感じの女の子が好きなのかな。
よく響さんに馬鹿って言われるけど
好きな人は私なんかじゃない。
絶対に…
だって…響さんは私笑顔を見せてくれない。
頭を撫でてくれたりする。
けれどそれは…好意を向けてる人に
易々とできることじゃない。
無意識なのかな…
もしかしたら響さんにとって
笑ってる場面が何度もあった!?
……はぁ…私としたことが…
もっと話したかったのに…
学年が違うから教室はもちろん違う。
だから学校に着けばすぐ別れてしまう。
寂しいな…
_響Ver.__
笑顔を見せない無愛想な男子。
はぁ…
俺みたいなやつは
高校にいれば何人でもいるはず。
だけど…
期待したい。
そう思いたい。
あいつは…俺が好きなんだって。
信じたい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!