_奈々Ver.__
…目撃してしまった。
莉沙と鈴木先輩がキスしている所を
知りたかったのは本心。
けど、現実を叩きつけられるような
知り方だけは…したくなかった…
先輩ッ…好きなんです…
今だって…ダメだって分かってても好きです…
あの日諦めるって…決めたのに…
諦められないんですッ…
_ガチャ__
…誰だろう。
屋上に来る人なんて私くらいだと思ってたのに…
やばい…泣き顔見られちゃう…
どうしよ…
愛華…愛華だッ…
勢いで抱きついちゃったけど…
愛華の顔を見ると安心しちゃって…
いつも応援してくれたのは愛華だ。
何かあればすぐ相談に乗ってくれた。
だから…尚更諦められなくて…
愛華はすぐ理解してくれた。
私は何に悩んでいて、
何故泣いていて
何がまだ好きなのかということに。
愛華は勘が鋭い。
私が分かりやすいのかな…
_愛華Ver.__
私はまだ彰人が好き。
だけど…あの二人を切り離すような真似はしない。
したくない。
それは奈々も同じだ。
全てが…同じ気持ちだから。
共感…できすぎちゃうからッ…
私まで泣いちゃうよ…
私は…
どうするんだろう…
これからッ…
私はッ…、。
笑え
辛い時こそ笑わないと…
ダメなんだッ…
何度彰人を恨んだんだろう…
何度彰人を好きになったんだろう…
何度彰人と笑いあって、泣きあったんだろ…
数え切れないほどそれが多いのは
私の方なのに…
彰人が選んだのは光希。
どうしても、そう考えてしまうの…
でも奈々はきっと違う悔しさがある。
鈴木くんの情報はあきらかに
奈々の方が少なかった。
ほぼ知らないに等しかった。
だからこそ悔しかったんだ。
好きな人を知る前に
好きになるのをやめなきゃいけなくなった。
そんなの…嫌だよねッ…
あぁ…
バイバイ…
長かった私の片想い…
楽しかったことよりも
辛かった事のが多かった気がするけど、
こんな風に泣けるのは
私が頑張ったって印だよね。
だから…何も悔やむことなんかない…
そう、思いたい。
信じたい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!