第56話

許してくれるなら-駆&愛華-
32
2018/09/19 07:21
_駆Ver.__


もし学校が…大人が。世間が。

許してくれないとしても…



俺は愛華が好きだ。

それを伝えるには…少し早すぎたか。


けど…これを逃せば俺は二度と言えない
気がして。
愛華
愛華
あの…先生…
それって本気ですか…?
駆
あぁ…俺はお前が好きだッ…







_数時間前___



愛華が職員室へ
怪我をしているから保健の先生はいないかと
来た。

ちょうど保健の先生はいなかったため
俺が代わりに怪我の手当をしていた。


保健室で俺と愛華の二人きり。



こんな好都合なことがあるだろうか。


そうして俺は…とうとう愛華に伝えてしまった。
駆
…愛華。
愛華
愛華
はい
駆
……俺は…お前が好きだ。
愛華
愛華
…先生何言ってるんです?
からかうのはもうやめてください。
駆
からかってなんかない。
生徒としてではなく…女としてお前を見てる。
愛華
愛華
あの…先生…
それって本気ですか…?
駆
あぁ…俺はお前が好きだッ…
俺はとことん臆病で…
大馬鹿者だ。



先生という…大人というものに縛られて。
そこから抜け出そうともがいている時に
お前と出会った。


お前は…俺に笑顔を見せてくれた。

他の生徒とは違う笑顔。


他の生徒みたいに…
媚を売るみたいな笑顔ではない笑顔。


俺を元気づけてくれてるように俺には見えた。



それがすごく嬉しかった…
心に残った。

そうして俺は愛華を好きになった。


先生と生徒の関係なんて全く考えずに。
愛華
愛華
ですが…先生…
駆
あぁ
俺とお前はそんな関係になれば問題になる。
駆
だから…
愛華
愛華
駆
…お前に想いを伝えれるだけで
俺はよかったんだ。
そうだ。


何も言えずにお前が卒業するのを待つなんて
できなかった。

いつまでも後悔すると思った。

そんなの…できない。


これから先愛華に避けられようと…
嫌われようと。

そうなってもいい。

だから


これでよかったんだ。
愛華
愛華
…私だったらそんなの……
耐えきれません。
駆
…今のは忘れてくれ、
さッ…手当て終わったぞ。
愛華
愛華
私だったら、
想いを伝えて終わりなんて嫌です。
駆
……どうしたんだ。
愛華
愛華
…先生、
先生は…私をいつまで好きでいてくれますか。
駆
…いつまでだろうな。
けど、すぐ冷めるなんてこと、ないさ
愛華
愛華
なら…先生。
駆
…なんだ。
愛華
愛華
私が卒業したら…
先生への答えを…出してもいいですか。
駆
……本気で…言ってるのか…
愛華
愛華
…期待はしないでくださいッ…
けど……
答えを聞かずに終わるなんて、
私は嫌だったので。
…そうか。

こいつは…辛い思いを何度もしてきた。



俺なんかより、ずっと。






卒業後の返事。


少しだけ…期待してもいいか。

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