_慎也Ver.__
はぁ~…
もう卒業か…
びっくりした…
いきなり後ろから抱きついてくるなんて
珍しいな…
……そっか…泣いてるのか…
莉沙が泣くなんて思ってなかった。
もっと強がって来るかと思ってた。
いつもみたいに明るくしないと、
いつもみたいに笑顔でいないと。
自分ではそうしなきゃいけないって
分かってるのに…
話したいことはある。
話さなきゃいけないことはある。
なのに言えない…
そんなことが溢れかえりすぎて…
慰めようと思った言葉。
莉沙を笑顔にしようとした言葉。
の、はずなのに…
莉沙は泣いてしまった。
ありがとう と…
俺は笑うのが好きで
笑わせるのも好きだ。
けど時々どうすればいいのか
わからなくなる時がある。
そんな時でも
莉沙は話しかけて俺を笑わせてくれる。
莉沙…
絶対着いてきてね。
俺も全力で頑張るから。
_莉沙Ver.__
慎也くんと写真撮って…
手紙も渡せた。
『慎也くんへ
大学がんばってください。
私は残り2年間がんばります。
そして、ちゃんと慎也くん以外の
人を好きにならないよう頑張りますね。
冗談ですよ。
ちゃんと慎也くんだけを見ます。
手紙でまで敬語なんて嫌ですよね。
慎也くん、
大学がんばって。大好きだよ
応援してる。
莉沙より』
渡した瞬間読まれて恥ずかしかったけど…
泣きついてきてくれて嬉しかった。
思いが伝わったんだって
分かった。
今までありがとう。
そして
これこらもよろしく。
_奈々Ver.__
すごくビックリしてる…
そんなに声おっきかったかな…?
遠くから読んだから仕方ないかな…?
言わなきゃ…
今じゃなきゃダメだッ。
ど…どうしよう…
勢いで告白しちゃったッ…
鈴木先輩…何も言ってくれない、。
顔上げるの…怖い…
やばい…泣きそう。
けど泣いたら…
鈴木先輩を困らせちゃうッ…
ダメだ…そんなの…
告白しただけでも困らせたのに…
最後には優しく頭を撫でてくれた。
それだけて嬉しくて…
それだけで満足しちゃって…
けど結局…私の恋は実らなかった。
楽しかったです。
ほんのちょっとの時間。
そんな時間をくれて…
ありがとうございました。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。