第61話

卒業-響&梨央奈Ver.-
37
2018/09/29 01:57
_梨央奈Ver.__


響さんに救われたあの日から…
今日まで。


私の進歩はあったのかな。
私と響さんが重なることは…あったのかな。


卒業してしまうのに、
いなくなってしまうのに、
響さんのところへ行けない…

すぐ目の前にいるのに…

ずっと桜を眺めている響さん。

その横顔が…切なくて…


私は響さんが好き。
響さんもきっと私が_
梨央奈
梨央奈
響さん…!
響
……ん。
梨央奈
梨央奈
……卒業、おめでとうございます…
響
…ありがとう。
梨央奈
梨央奈
……日本、でるんですか。
響
…あぁ、出る。
俺は写真家として…頑張るつもり。
梨央奈
梨央奈
…そうなんですね…
響さんが日本を出る噂は知っていた。

けど…怖くて聞けなかった。
聞いたら離れ離れになることが
生々しく感じてしまう。


…告白、できなくなっちゃう…
響
お前はまだ、
高校生活あるんだから、頑張れよ
梨央奈
梨央奈
…はい!頑張ります…!


日本を出て活動する響さんを
応援しなきゃ…


だから…この気持ちはっ。

好きって気持ちは…


_自分の中に閉じ込めるんだ__



_響Ver.__



梨央奈の隣で桜を見る。
そんなの…今日しかできない。

これからは会うことすら出来ないかも
しれない。


できたとしても電話くらいしかできない。



けど

お互いそんな勇気なんてない。

そんなことをすれば
自分を暴走させてしまう。

それを分かっているから。



今だって。

自分の気持ちを伝えたいという感情が
溢れかえってる。

でもそれを表に出せば
混乱を招いてしまう。



俺が日本から出るという決断が
鈍ってしまう。

それを梨央奈は知っている。
俺だって知っている。
梨央奈
梨央奈

…いつか戻ってくるんですか?
響
…あぁ。
結果的には日本で活動しようと思う。
梨央奈
梨央奈
……よかったです。
響
何がだ。
梨央奈
梨央奈
……私を叱ってくれる人が…
居なくならないんだって思ったんです。
響
親にでも叱ってもらえ。
梨央奈
梨央奈
それじゃあ…ダメなんです。
響
……
梨央奈
梨央奈
響さんじゃないと、
学習しないんで。
梨央奈は笑って誤魔化しているが、
本当はそんな理由ではない。


叱ってもらえる…というのもきっと嘘。

それ以上の理由が梨央奈にはある。





それを気づいていながらも
好き。と言えない自分が嫌いだ。

それを言うだけでも
決断が鈍るのなら…

それだけの人間だった。というだけだ。



言えばいいのに。

度胸試し。という言葉になってもいいから、
言えばいい…


なのに…











____ … _____ 。



響さんはきっと私が好き_


梨央奈は多分俺のことが好きだ_


けどそれを言えば響さんを困らせる_


本当のことを言えば梨央奈を泣かせる_


だから_


…だから_




__大人になるまで_____

__この気持ちは閉じ込める____




待ってますよ_

待ってるからな_


響さんのこと_

おまえのこと_



_大好きです_

_好きだからな_


__また 会う日まで____

__返事は おあずけ____

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