私の名前は「あなたの名字 あなたの下の名前」、みんなからは「あなたのあだ名」って呼ばれてる。
私は画面越しにいる推しを眺めながら独り言をつぶやく。
そして近くに置いてあった時計を見た。
そして素早くスマホの電源を切りバッグに突っ込んだ。
玄関の扉を勢いよく開けて家を飛び出す。
いけないいけない。
推しのとこ考えてるとすぐ時間を忘れちゃうんだから。
そんな調子でバイトが終わった。
私は誰もいないはずの家でそう呟く。
ここで推しが「おかえり」とか笑顔で言ってくれたら元気になるのになぁ。
そんな妄想をしてた時だった。
確かに聞こえた。
推しの声が。
どういうこと?
私はただのリスナーで……なんの関係もないごく普通の女の子だったはずなのに……
自分でも笑いながら言っている推しが可愛すぎる。
いやいや!
そんなことはどうでもいい。
なんでここにあなたが────
※不法侵入、ダメ、絶対
緊張しすぎて声が出ない……
え、まって……なんで私普通に会話してるんだろ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。