第16話

16
233
2021/02/18 13:12
晴人
晴人
すごい大荷物だね
真琴
真琴
まぁ…笑




晴人さんに「昨日重かったですか?」なんて…







恥ずかしくて聞けない…







お礼言いたいのに。













わたしは今から元カレの家に向かう。







今日は元カレの学校が3限からという事で







午前中に荷物を取りに行くことになった。






真琴
真琴
行ってきます
晴人
晴人
気をつけてね







「気をつけてね」








素直にその言葉を聞いて








嬉しくて心が暖かくなった。






わたしは、元カレの家のインターホンを押した。




ガチャ






元カレ
元カレ
久しぶり
真琴
真琴
…すぐに済ませるから




家に入れば、新しい彼女はいないものの








彼女の靴やらマグカップやら…









前よりごちゃごちゃ物が多くなっていて










初めて来る部屋のように思えるくらい








様変わりしていた。









キャリーバッグを広げて、そこに







夏服をとにかくギュウギュウに詰めた。






元カレ
元カレ
いやさぁ、なんてゆうかさ笑
真琴さんほど家事できる
いい女いないなって思ったわ笑
真琴
真琴




これは、無視が正解だと思う。




元カレ
元カレ
ねぇ、聞いてる?
まぁ…だからなんだって話かもしれないけど
俺、真琴さんの事嫌いになったわけじゃないからね?
あくまでも、本命は真琴さんだったし。
けど、あの日すぐ出てっちゃったからさ…






ほんと。どこまでも勝手だなぁ。











元カレ
元カレ
真琴さんの手料理も好きだった。
途中から作ってくれなくなったけど笑
真琴
真琴
………わたしは、大切な人にしか作らないって
決めたから…わたしには今作りたい人がいるの





晴人さんの顔が思い浮かんだだけで心強くなって








わたしの口は達者に動いた。





真琴
真琴
ご飯何かなって楽しみにしてくれて
ちゃんと手を合わせて、「いただきます」 と
「 ごちそうさま」を言ってくれて
美味しいって言ってくれて………
出かけるときには「 気をつけてね 」って言い合えるの。







話してるうちに涙がこみ上げてくるけど









ここで泣いたら負けだって思って








こぼれないうちにキャリーバッグを閉じた。









そして、元カレに背中を向けた。






元カレ
元カレ
なんだ、そっちも新しい男いるんじゃん
真琴
真琴
……わたし…別れた後でショックだったって
思ったけど違った。
別れてくれてどうもありがとう。

プリ小説オーディオドラマ