瑞希視点。
目を開くと目の前には気持ちよさそうに眠る要の姿。
要の腕は俺の体をがっちりと抱き込んでいて、
俺は思うように身動きが取れない状態になっていた。
要の腕を解いてベッドから立ち上がる。
立ち上がった瞬間腰に走った痛みに顔を顰める。
前に洸があまりに腰が痛くて体育見学してたけど…
こんな感じだったのか。痛すぎる…。
腰をさすりながら洗面所に行く。
鏡に映った自分を見て思わずそう呟く。
身体中に付けられた噛み跡やらキスマーク。
それだけならまだいいが、問題は首。
俺の首には要に絞められた跡がくっきりと付いていた。
これは制服じゃ隠せないな。
かと言って首締められた跡晒しながら歩くのは気が引ける…。
シャワーを浴びに行くためにタオルを取り出そうとすると、
背中にノシっと重たい何かが乗っかった。
俺がそう言うと、要は俺の上から退いた。
俺がそう言うと要は目を輝かせた。
要は俺が返事をする前に服を脱ぎ、
俺の服も脱がせると風呂場に押し込んできた。
そう言うと要はシャワーを俺の背中に当てた。
ここまで来るともう逃げられない。
仕方なく風呂の椅子に座ると、要に背中を流される。
要は俺の背中に手を這わせながらそう言った。
ボディソープを纏わせた要の指が滑るように
俺の背中を撫でた。
要の手が上下に背中を撫で回す度に腹の奥からゾクゾクしたものが込み上げてくる。
指先がピクっと動き出す。
やば、いッ…止めないとッ…、
俺が振り返り要の腕を掴もうとした瞬間、
2人揃って泡に滑ってしまい、そのまま要の方に転倒した。
要は途端に顔を赤くして俺から顔を逸らした。
要に言われて気がつく。
俺が要の上に跨るような体勢になってしまっていることに。
要が顔を赤くしたままそう言う。
大胆なんてもんじゃない。
風呂場で、しかも全裸でこんな体勢ッ…、
急いで要の上から退くと、要が上半身を起こした。
要を睨んでそう言い返すと俺は顔を背ける。
…くっそやらかした…。
要は温かいシャワーを俺の背中にかける。
じんわりと体が暖かくなる。
あー…なんか、眠くなってきた…、
要に頬を摘まれ、意識が戻る。
要はシャワーのお湯を止めて壁の出っ張りに引っ掛けると、俺の体を抱き上げる。
風呂場に反響した声に要は顔を顰めてそう言う。
いやいや、いきなり全裸で抱き上げられたら誰だってビビるだろ。っていうかこいつ意外と力強いよな。俺、そこそこ重いはずなのにこんなに軽々しく持ち上げられるなんて。
要は湯船の中に俺を下ろした。
要は俺の正面に座る。
お互いそこそこ体格がいいため、さらに狭く感じてしまう。
脚を伸ばそうとすると相手の体に当たってしまうため、お互い脚を曲げてお湯に浸かっている。
正面の要を見ると、要は両腕を大きく広げて待っていた。
こっちに来いと言いたいのだろうか。
俺は要に近づいた。すると、途端に要に腕を引かれ、後ろからぎゅうっと抱きしめられた。
要の腕を振りほどこうとしていると、
要の舌が俺の首筋に這った。
ゾワゾワとした感覚が背筋に走った。
ふぅ…、と俺の耳に息をふきかけながらそう言う要。
要は不満げな声を上げながら俺の首に噛み付く。
ビリッとした痛みに身体が跳ねる。
先程までしていた性行為のせいで俺の体はおかしくなったのだろう。こうして首に思い切り噛み付かれた痛みを、快感として受け取ってしまっている。
要は噛んだとこから出た血を舐めながらそう言った。
俺は立ち上がろうとするが、要に腰をがっちりと掴まれてしまっており叶わなかった。
俺がそう言うと、要は目を輝かせた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。