第152話

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2022/08/17 10:56
朝。
空輝の部屋のベッドの上で目を覚ました。
昨日空輝が運んでくれたのだろう。
隣を見るが空輝の姿はなかった。
ベッドから降りてリビングの方に行くと、
なにかを焼く音と食べ物の香ばしい匂いがした。
その匂いに釣られるようにリビングの扉を開けると、
空輝がキッチンで朝ごはんを作っているようだった。
空輝はこちらに気がついていないのか、フライパンを片手に何かを焼いている。
雨川 洸
雨川 洸
空輝、おはよ
俺がそう言いながら広い背中にくっつくと、
空輝の肩がビクッと跳ね、こちらをみた。
新賀 空輝
新賀 空輝
びっくりした。…おはよ、洸。
雨川 洸
雨川 洸
ん、何作ってんの?
新賀 空輝
新賀 空輝
朝ごはん。…食う?
と、皿の上に置いていた菜箸で焼き終えたウインナーを摘むと、俺の唇の前に差し出した。
それを口に入れると口の中がじんわりと熱くなり、ウインナーの香りが口いっぱいに広がる。


その匂いにつられたのか、俺の腹が大きめな音で鳴った。
雨川 洸
雨川 洸
…お腹、空いた。
新賀 空輝
新賀 空輝
昨日夜ご飯食べずに寝ちまったからな。
もうすぐできるからちょっと待っててな。
雨川 洸
雨川 洸
うん。…あ、ごみ捨て行ってこようか?
大きなビニールの中に入った大量のペットボトルを見て俺がそう言う。
新賀 空輝
新賀 空輝
あ、頼んでいい?ありがとう。
雨川 洸
雨川 洸
はいよ、ちょっと行ってくる
俺がそのビニールを手に外に出ようとすると、
空輝の大声がキッチンから聞こえてきた。
新賀 空輝
新賀 空輝
ちょッ…ばかばかばか!!その格好で行く気か!?せめて上になにか羽織ってけ!
空輝の声に自分の服装を見直す。


起きた時に自分の服がなかったから近くにあった空輝のTシャツを1枚着た服装。何が悪いのだろうか。
雨川 洸
雨川 洸
え…?これじゃダメ?
新賀 空輝
新賀 空輝
ダメに決まってんだろ!胸元丸見えじゃねぇか。襲われるぞ。そこに俺の上着あるから羽織って行って!
雨川 洸
雨川 洸
わ、分かった…、
襲われるって…襲う奴なんてお前くらいしかいないだろ…。
空輝の上着を羽織ると、今度こそ外に出る。
雨川 洸
雨川 洸
うわ、寒っ…
ぶるっと体が震えた。
たしかゴミ捨て場はアパートの1番下の階だったよな。
扉を締め、俺が歩き出そうとしたその時。


空輝の住んでる部屋の隣の部屋からゴミ袋を持った男の人が出てくる。
逢坂 要
逢坂 要
あれ、お隣さん?おはようございます。
お隣さんも、ゴミ出し?
雨川 洸
雨川 洸
あ、おはようございます。そうなんです。
あ、そういえばお隣と言えば…。


昨日ちょうどこの人の部屋から喘ぎ声、が…、
逢坂 要
逢坂 要
ん…?あれ、君どっかで見た顔…。
雨川 洸
雨川 洸
え?えっと…、そう、ですかね?
頬を掴まれ、じっと顔を見つめられる。
逢坂 要
逢坂 要
ん〜?
雨川 洸
雨川 洸
え、ぁっ…顔、ちかっ…
あまりの顔の近さに驚いていた時、
お隣さんの部屋のドアが思いっきり開いた。
月城 瑞希
月城 瑞希
要、ごめん!このゴミも追加で!
雨川 洸
雨川 洸
へ…、瑞希…!?
開いたドアから顔を覗かせたのはゴミ袋を持った瑞希だった。
月城 瑞希
月城 瑞希
は、…?洸…?おまッ…なんでここに…、
雨川 洸
雨川 洸
い、いや…それはこっちのセリフ…、
え、どういうこと…?まさか空輝が言ってた新しい入居者って…。


っていうか、昨日隣から聞こえた喘ぎ声って……、!?


瑞希と顔を合わせ戸惑いあっていると、
空輝の部屋のドアが開いた。
新賀 空輝
新賀 空輝
洸?朝ごはんでき──────………は?
部屋から顔を出した空輝は瑞希の姿を見るなり不機嫌そうな顔を浮かべた。
月城 瑞希
月城 瑞希
げッ…新賀…、
新賀 空輝
新賀 空輝
なんでこいつがここにいるんだよ…、
その後、金髪の青年からの提案で、瑞希達の部屋で少し話をすることになった。


一度空輝部屋に戻り、朝食を食べて2人の部屋に向かう。


空輝はあまり気の乗らない顔をしていたが、
ちゃんと着いてきてくれた。
逢坂 要
逢坂 要
ごめんね、汚いけど。上がってどーぞ
雨川 洸
雨川 洸
おじゃまします…、
部屋に上がると、派手な色をした家具が視界いっぱいに拡がった。


普段空輝の大人しめな部屋を見慣れているせいで、
目がチカチカする…。
逢坂 要
逢坂 要
どうぞ座って座って
隣に座っている空輝は正面に座る瑞希とガンを飛ばしあっている。


金髪の青年はそれを無視して俺に話しかけてきた。
逢坂 要
逢坂 要
雨川洸くん、だよね?俺のこと覚えてる?
ほら、前飲食店で会った…、
雨川 洸
雨川 洸
…?
記憶を隅から隅まで辿って必死に思い出す。


……………、!
雨川 洸
雨川 洸
あ!もしかして瑞希と一緒にいた情報屋の!
えっと…逢坂くん…だっけ?
逢坂 要
逢坂 要
そーそー!覚えててくれてうれしーよ。
先日ここに新しく入居した逢坂要だよ。
逢坂くんは俺の手を取りブンブンと握手してくる。 


隣りに引っ越してきたのは瑞希じゃなくて逢坂くんだったのか。
逢坂 要
逢坂 要
そっか、お隣さんは雨川クンだったんだ
雨川 洸
雨川 洸
あ、ここに住んでるのは俺じゃなくて空輝。
俺はたまたまここに来てただけで…、
逢坂 要
逢坂 要
へ〜…ってことはつまり昨夜の声は…
逢坂くんは俺の顔を見るなりにまぁっと笑った。
逢坂 要
逢坂 要
ふふっ…なるほどね〜
雨川 洸
雨川 洸
っ…?
逢坂くんの笑いの意味はよく分からないけど、楽しそうに笑っていることだけは分かる。
逢坂 要
逢坂 要
…と、おふたりさんはいつまで見つめ合ってるの?
逢坂くんは空輝と瑞希に視線をやる。
月城 瑞希
月城 瑞希
はぁ…!?見つめあってないんだけど!?
逢坂 要
逢坂 要
うわっ…ちょ、テーブル叩かないでよ。
お茶こぼれちゃうじゃん。
逢坂くんが近くのタオルで溢れたお茶を拭く。
新賀 空輝
新賀 空輝
…そろそろ自分の部屋帰らせてもらいますね。
逢坂 要
逢坂 要
あ、はーい。また来てねん。
空輝が立ち上がったのを見て俺も立ち上がり、玄関まで行く。


俺はその時、隣に立っていた瑞希に話しかけた。
雨川 洸
雨川 洸
っていうか瑞希…、
月城 瑞希
月城 瑞希
ん?
雨川 洸
雨川 洸
お前と逢坂さんって、その…付き合ってんの?
月城 瑞希
月城 瑞希
え、…?何、いきなり。付き合ってないけど…、
新賀 空輝
新賀 空輝
昨日の夜こっちの部屋まで声聞こえてた。
…っていうかほぼ毎晩聞こえてる。
俺らの会話を黙って聞いていた空輝がそう告げると、
瑞希は数秒固まった後途端に顔を真っ赤にした。
月城 瑞希
月城 瑞希
ちょ、おいっ…馬鹿!違う!あれはそういうんじゃなくてっ…!
逢坂 要
逢坂 要
んははっ、たしかにセックスしてたのは認めるけど、別に付き合ってなんてないよ。
会話が聞こえていたのか笑いながら逢坂くんがそう言った。
雨川 洸
雨川 洸
ッ…え?
つまりそれってセフレ…?
月城 瑞希
月城 瑞希
もういいから早く出てけって…、
瑞希に背中を押され、追い出される。


新賀 空輝
新賀 空輝
セフレ…?
外に出た空輝がボソッとそうつぶやく。
雨川 洸
雨川 洸
い、いつの間にそんなの出来たんだろう、ね…?
瑞希が転校してきたのが今月の頭だったはず。


この1ヶ月で一体何があったんだ……?

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