その後、煉獄さんはようやく満腹になったのか
口を開く。
炭治郎さんは 、不安気な顔をして頷く 。
煉獄さんと私の向かい側には、炭治郎さんが一人で
座っていて、善逸さんと伊之助さんは通路を挟んだ
斜め後ろの席に居る。
炭治郎さんは頷いた後、やや緊張気味に話し続けた。
炭治郎さんは話し始めた。
炭治郎さんのお父様の事。
病弱だった父が、肺が凍るような雪の中で神楽を
踊れて、
その舞 " ヒノカミ神楽 " が戦いに応用できた事。
何とも不思議な話だ。
煉獄さんは考えを巡らせると、答えに辿り着いたのか勢い良く顔を上げた。
炭治郎さんは煉獄さんに全力のツッコミをする。
しかし、煉獄さんはあさっての方向を見ている。
煉獄さんは唐突に語り始める。
窓の開く音とともに、伊之助さんの笑い声が
車内に響いた。
そんな伊之助さんを善逸さんが、必死に引き戻していた。
煉獄さんが、あさっての方向を見てそう呟く。
でも、煉獄さんの危険の意味は違うという事を
私は知っている。
善逸さんの顔が強張る。
頭を抱えた善逸さんが、泣き叫ぶ。
すると、後方の車両に続く戸が静かに開く。
車掌さんがゆっくりと歩いてくる。
煉獄さんが切符を車掌に渡す。
それを車掌さんは改札鋏でパチリと切る。
それに続いて、私と炭治郎さん達も切符を渡し
切り込みを入れてもらう。
不気味な音を立てて、天井の灯りが点滅する。
煉獄さんは、閉じていた瞼をゆっくりと開くと
その場に立ち上がり、車掌さんの前に立つ。
そう言い、日輪刀を掴む。
すると、客車の奥の戸に鬼が現れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。