私が抱き締めながら泣いている間、お母さんは優しく私の背中を撫でてくれていた。
自分でもなぜ泣いていたのか分からない。
思い出せない。
─── 何か悪い夢でも見ていたみたい。
そう言って、お母さんと私は家に入ろうとした。
私は勢い良く後ろを振り向く。
しかし、そこには誰も居ない。
木々の枝葉の間から差し込む日の光が、自然を
輝かせているだけだった。
私は何か気配を感じたけど気のせいだと思い、
そのまま家に入った。
あなたが何らかの気配を感じたと思ったのは、間違いではなかった。
一人の青年が、木に隠れてあなたを見ていた。
青年は、何処かに走り去って行った。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
暫くして私達は街に出た。
すると、空からはらはらと雪が降ってきた。
私は空を見上げる。
私も四季の中で、一番冬が好き。
雪が降るし、外でお母さんと雪遊びするのが子供の時から大好きだった。
そんな事を考えながら歩いていると、街が少し騒がしい事に気がつく。
何かあったのかな………。
母もその事に気がついたのか、近くの人に話を聞いていた。
猪か………。
なんか、
何言ってるんだろう……。
そんな人と知り合った記憶は無いはず…。
不思議には思ったけど気にしないで、私はお母さんと買物を続けた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。