久しぶりの、雨。
自転車通学ののんちゃんも、今日は電車。
え……?
のんちゃん、変だよ。
グイッ
幸助くんがののんちゃんの手を掴む。
“明日ね”
なんの根拠をもって……こんなこと言ったんだろう。
のんちゃんの言いたかったこと、明日聞けばいいやって
思って。
幸助くんがのんちゃんを連れて行った理由も考えないで。
♪♪♪〜
お母さんの声も聞こえなくなって。
ごめんなさい、先輩。
だって……だって、嘘だよね?
嘘って言ってよ……!
“ののかちゃんが、亡くなったの”
のんちゃん……っ。
病院につくと。
のんちゃんの両親がいて。
いつも笑っていた幸助くんが泣いていた。
当たり前だよね。泣かないほうがおかしい。
みんな、幸助くんに意識が行く。
のんちゃん、ごめん。
泣けないよ……。
私だって……のんちゃんのことが、大好きだった。
なんだろう、この、幸助くんに勝てない感じ。
いや、違うよ!
悲しいのは、みんな同じなのに、私ったら何考えてるの……。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。