結局、車の中で話をすることに。
そう兄の言葉にうなずいて、一度大きく深呼吸。
初めて彼氏ができた。
あまり話したことはなかったけど、しっかり気持ちを伝えてくれたから、付き合い始めた。
元々、のんちゃんしか仲のいい子がいなくて、のんちゃんとクラスが違うと、いつも一人だった。
そんな私の唯一の助けがアニメで。
ただ、語る友達がいないせいで、私がアニメ好きだって
知っている人は、のんちゃんくらいしかいなかった。
結果的に言えば、隠していたということになる。
彼女がどんなものか、男子と話したことのない私がわかる
はずもなく。
元カレの言うままにオシャレして、デートとかして。
……楽しくはなかった。
でも、嬉しそうな彼を見ていたら、何も言えなくて。
そんな彼の態度が一変したのは、私がアニメ好きだと言ったときだった。
その時の彼らの表情は「嫌悪」。
何なの、それ……。
彼氏に言われたからって、簡単にやめられない。
共感してくれなくていい。
ひどいことを言うのをやめてほしい。
私の宝物だよ。
見ればわかってくれるはず。
だって、悪いものじゃないんだから。
偏見でしょ!?
ろくに喧嘩もしたことのない私達。
いや、できなかった。
好きでいてくれている相手に、嫌われたくなかったから。
「好きでいてくれている相手に」ね……。
は……?
悪いことじゃないと思うんだけど。
こんな人だったの?
おかしいよ……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!