どれだけ気まずくても、お母さんに爆弾発言されようとも、学校に行くためには電車に乗らなければならない。
……自転車で行けばいいなんて言う反論は聞こえない
耳なのです。
ガッタン ガッ……タン シュー
いつもどおりの時間に電車は来て、扉が開く。
一歩入った瞬間、步斗先輩と目があってしまった。
えい!気まずさなんて知〜らないっ!
近くに行き、小声で挨拶をする。
ぎこちないのは気のせいであります。
変わらないかわいい声で、ニコッとした顔とともに挨拶が
返される。
まだメガネはしていない。
苦笑いの先輩。
だんだん自然に話せるようになって。
ずっとききたかったことを聞くだけ。なのに。
『え、アニオタなの?』
『ありえねー……』
『ごめん。マジ無理』
ハァハァハァ……
先輩が私を心配するように見る。
《まもなく――――――――――》
電車の扉が開き、あわてて先にホームに降りる。
先輩の声が。顔が。可愛すぎてどうしよう。
それなのに、変なとこ見せちゃった……。
気のせい……だよね。
いつもと同じ光景。
安心する……。
そうだと思ってた……。
そういえば、今朝ものんちゃんの名前はうろ覚えだったような……。
あっ、言うの忘れてた……。
仲良くハモったふたりは、険しい顔と考え込む顔になった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。