風音ちゃんと話すようになって数日後。
『一人じゃ不安だからついてきてほしい』
風音ちゃんにそう言われ、私はある人と会うことになった。
その人は、風音ちゃんとのんちゃんが言うに、モテモテの
とても優しい先輩らしい。
風音ちゃんの部活の先輩で、好きな人。
私は応援したいと思っているし、風音ちゃんはとっても
いい子だって最近わかった。
ニコッと微笑む姿は、100点満点の王子様。
とてもイケボな爽やか声!
これはモテても仕方ないなあ……。
なにかしたかな……!?
なんで私が可愛い前提で話されてるの!?
これまた100点満点の王子様スマイルで返される。
風音ちゃんは嬉しそうにし、私は苦笑いをし、のんちゃんは顔が引きつっていた。
莉央先輩は、風音ちゃんとのんちゃんの方に手を置き、
私達ににっこり微笑んだ。
その時。
え……?
たまたま通りかかったにしては、必死すぎる様子。
接点なさそうなのに……。
のんちゃんは、納得できないというような顔。
んん!?行っちゃった……。
なにか言いかけたよね?
私も納得できないまま、その日の昼休みは
終わってしまった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。