第11話

11.気の抜けない食事。
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2023/11/09 14:21
~らんside~

俺は今、すちさんの家のキッチンで二人で料理をしている。


なんでここに……



そんなことを考えながら、俺は玉ねぎを切り続ける。



…発端は、すちさんだ。


ものの30分前の出来事。



すち
『じゃ、一緒にオムライス食べよ!』
らん
『…えぇっ?』
すち
『よし決まり!じゃあ俺の家で作ろっか!』
らん
『え、いやまだ了承してなー…!』
すち
『れっつご~!』
らん
『うえぇ……?』
そう言われすちさんの家に半強制的に入れられた。


そしてそのままオムライス作りに突入。


…いやマジでどんな状況だよ……



すち
~♪~~♪
らん
……
隣では、すちさんが歌いながら米たちを炒めている。


無意識だろうか。にしても上手いな…



すちさんの歌に耳を傾けながら、材料を切る。
らん
……上手いですね。(ボソッ)
すち
…え?
らん
あっ…!いえ、いや違くないんですけど!無意識で…!!その、特に意味は!いや意味ないわけでもなくて!!
いやなに言ってんだ俺。意味が分からなくなってきた…


そう俺があたふたと言い訳していると、すちさんはこらえきれないように笑った。


すち
…ふはっ!面白いね、らんらん…www
らん
へ?あ、ありがとうございます…?
すち
材料は切り終わった?
らん
はい!
そう言って切り終わった材料をすちさんに渡す。


そのまま材料を炒め始めるすちさん。


…やることないな…ソースでも作るか……

らん
あの、ソース作ってもいいですか?そこまで手の込んだものじゃないんですけど…
すち
え?ソースなんて作れるの?
らん
あ、はい。すぐできますよ。
すると、すちさんは意外そうな顔をした。

…なにかおかしなことでも言ってしまっただろうか。


らん
あの…どうかしました?
すち
いや、らんらんって料理得意なんだね。手馴れてるし。
すち
なんか普通の男子高校生に見えなくてさ…www
らん
……そうですかね。ただ、料理が好きなだけですよ。
すち
…そっか。あ、こっちそろそろできそう!
らん
あ、はい!こっちもう少しかかりそうです…!
すち
おっけ~。じゃ、先に盛り付けてるね!
らん
はい!お願いします。
……『普通じゃない』、ねぇ…



…そりゃそうか。





すち
…よしっ!じゃ、いただきま~す!
らん
いただきます…
出来上がったオムライスを口に運ぶ。


…パクッ!
らん
…ん!美味し…!!
すち
そう?良かった~。ソースめっちゃ美味しいよ!
らん
良かったです…!
そう二人で雑談しながらオムライスを食べていく。


すち
…らんらんってさ。
らん
はい?
すち
いるまちゃんたちの家に、いつまでいる予定なの?
らん
………
心配そうな目で見てくるすちさん。


…わかってる。いつまでもいるなんてそりゃ不自然だ。


甘えちゃ、駄目なんて。そんなのとっくに知っている。


すち
…もしかして、決まってない感じ?
らん
…はい。すいません…
すち
謝ることじゃないよwww
すち
ただ気になっただけ。…でも。
そう区切って、すちさんは続ける。


すち
そう簡単に、「ずっと一緒にいる」ことはできないと思う。
らん
っ…!
全てを見透かしているように言うすちさん。


…その通りだ。



図星すぎて、つい下を向いてしまう。


ここで何も言えない俺も、ほんと弱いな、なんて。



すち
あっ…ごめんね?変な空気にしちゃって。
らん
いえ……
すち
お金は全文俺が払うよ。余ったケチャップライス、持ってって?
らん
えっ!そんな…!
すち
遠慮しないでよ~、ちょっと、大人げなかったね。ごめん!
らん
全然大丈夫、です。…その通りなのね。
すち
…そっか。
そのまますちさんはオムライスに手を付けた。

それに続くように俺も食べ進める。




すち
…じゃ、また一緒に料理しようね!いつでも来ていいから!
らん
あ、ありがとうございました…!!
パタン。


扉が、とじた。


そのまま隣の家に入っていく。



らん
…ふぅ~……



…ほんと、ここは…



優しくて、不思議な人ばかりだ。





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