第6話

6.普通じゃない高校生。
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2023/10/17 13:52
~いるまside~

…さて、らんがここに住むことになった。


……えー、まずは荷物か?
いるま
お前、荷物はなにもってんの?
らん
……とくに、何も。
なつ
…何も持ってないのか?
らん
はい。…すいません。倒れたときに着てた服くらいしか、持ってないです。
申し訳なさそうに謝ってくる、らん。

でも、ここに来る前に何やらひと悶着あったらしいし何も持っていないのも納得できる。


いるま
じゃあ…ここ確か部屋一つ余ってるから、そこをらんの部屋にするか。
なつ
そうだな。客用に布団もひとつあるし、、、あとは明日とかに買うか。
らん
えっ…!?ちょっ、俺なんか床でいいです!屋根があるだけでも十分なので…
いるま
何言ってんだよ。誰が高校生を床に寝かせたりなんかできるか。
なつ
そうだ。子供なんだから、大人の俺たちに頼れ。
らん
……え………
いるま
なつ、、、お前大人とは言えねぇだろ…
なつ
うるせぇっ!いるまが大人でいればいいんだよ!
いるま
他人に任せんなよ!?www
なつ
wwwごんごんwww
らん
……
らん
……今までの「大人」の人たちは、みんな違ったのに…(ボソッ)
いるま
…ん?なんか言ったか?らん。
らん
…いえ、何でもないです。…ほんとに、良いんですか?
らんは、警戒したように言った。

どうやら、まだ俺らの言うことを信じれていないらしい。
いるま
いいよ。ダメなわけねぇしな。
らん
……ありがとうございます。(ぐぅ~…)
らん
……あ。
らんが顔を赤くして、居心地悪そうな顔をする。


…そうだった!食事!!


慌ててなつに視線を送る。
なつ
ん?…あ、そうだ!味噌汁とごはんつくったから、食べてくれ!
ほっ…


なつはすぐにキッチンに行って、料理を持ってきた。

ほかほかの味噌汁と、ごはん。
いるま
ふぅ~ん。なつにしては上出来じゃん。
なつ
だろ?俺にしては上手くできたんよなぁ~(ドヤァ…!)
なつ
ほら、食べてみてくれ!
なつが「早く食べてほしい!」という気持ちを全面的に出してらんを見る。


すると、らんは驚いたように目を丸くした。
らん
え、食べていいんですか?俺が…?
なつ
?おちろん。だって腹空いてるんだろ?お前。
いるま
ほんとだよ。…最後に食べたの、いつだ?
らん
……二日前?…そろそろ三日前ですかね。
いるま
…はぁっ!?
なんてことないように言うらん。


でも、普通の高校生にしては何とも信じられないような内容だ。


三日食べてないって…俺だったら死ぬぞ?普通に。



なつも顔色を変えて、らんに食事をすすめる。
なつ
ちょっ!なおさら食べろやお前!!ほら!!
らん
うわっ…!?
なつがほぼ強制的にらんを座らせ、箸を持たせる。



俺らに見つめられ観念したのか、らんは諦めたかのようにごはんを一口食べた。
らん
……!(ポロッ)
いるま
!?らん、どうした!?
なつ
まずかったか!?もしかして腐ってた!!?
…さっきから、らんに驚かせられてばかりな気がする。


いやそんなんどうでもいい。問題は、らんが泣いたことだ。



しかし、それは本人にとっても驚きのことだったようで、涙を必死に止めようとしていた。
らん
っ…!美味しい、です…とても…!!
なつ
そ、そうか…(ホッ)
いるま
じゃあどうしたんだ?傷でも痛んだのか?
らん
いえ、、、こんな温かいごはん、初めて食べたので……
…『初めて』?

今まで泊まった大人たちからは、どんな食事をもらってきたんだ?


…それに、こいつもずっと家出していたわけじゃないはずだ。


親には?



…らんは、どんな生き方をしてきたんだ?

いるま
……
なつ
…大変なことに、なっちまったな。
いるま
ああ……でも。
らん
……!おいし…(もぐもぐ)
幸せそうに食べ続ける、らん。


その姿を見て、なぜか俺はこいつと一緒に住むことに、何も抵抗を感じなくなった。



…ただ、感じたのは。



いるま
…幸せにしてぇな。らんのこと。
なつ
!…ああ。

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