第5話

5.親切な大人たち。
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2023/10/15 13:30
~いるまside~
らん
……ん、うう…
いるま
!…おい、大丈夫か~?
らん
ん……?…っ!?(バッ!)
起きた瞬間、知らない場所にいたことに驚いたのか飛び起きる少年。
いるま
ちょっ!動かないほうがいいぞ、お前。
らん
……っ、……誰、ですか。
そう警戒した目で見てくる、少年。

いるま
あー…俺の名前はいるま。23歳。
なつ
俺はなつ。歳はいるまと一緒だ。
らん
…俺、の名前はゆ……らん。
らん、か…「ゆ」ってなんだ?


すると、らんは躊躇うようなそぶりを見せた。
らん
…歳は、20歳。大学生ですよ。
なつ
……ふーん。じゃ、これはなにかなぁ?(サッ)
らん
なっ!?(バッ!)…無い…!どうして…!!
身分証明書を見せるなつ。

らんは顔を真っ青にしてポケットを探るが、服は俺のを貸しているので、あるわけがない。

いるま
お前、このアパートの前で傷だらけで倒れていたんだよ。
いるま
それで、俺らはお前を拾ったわけ。手当てもした。
らん
は、…?
そうして、自分の身体を見るらん。
らん
……ほんとだ…なんで…(ボソッ)
いるま
……で、お前は何者なわけ?なんで倒れていた?
らん
……
なつ
お前…北海道出身なんだろ?ここ東京だぞ。
いるま
…言っとくけど、俺らはお前のことを責めているわけじゃねぇから。
らん
…っ!
すると、らんは諦めたような、それでもまだ俺らに対して怯えているような目をした。

らん
……家出、したんです。



…家出?
なつ
なんでだよ。…ここまで来ること、ないだろ。
らん
…色々、あったんです。
いるま
ふ~ん…親とか?
らん
………どうでしょうね。(低音)
いるま
(あ……)
その瞬間、らんの顔色が明らかに変わった。


触れないでほしい。


そんな気持ちが伝わってくる。



…何も言わないほうが、いいか。
いるま
はぁ…わかった。そこは今は何も言わない。
らん
!!
いるま
でもお前、これからどうするんだ?
なつ
…そうだな。そんな傷つけるようなやつのもとに帰せねぇし…警察?…もダメだよな…
らん
……俺がここに住むのは、ダメですか?(にやっ)
……ん?
なつ
どういうことだよ。ここに、お前が住む?
らん
はい。迷惑はかけないんで。…それでも嫌なら……
らんは、辛そうな、でも得意げそうな表情をした。






らん
…俺と、ヤります?
なつ
………は?
らん
あ、もしかして二人とも童貞ですか?教えるんで大丈夫ですよ!
らん
俺なら、気持ちよくできると思うんで!!
……意味が、分からない。



こいつ高校生だよな?


普通の…いや普通でもないか。

でも高校生が言うようなことじゃ、ない。



…こいつをこういうふうにしてしまったのは、俺らのような大人なのだろうか。



…………
いるま
……するわけねえだろ。
らん
……え?…でも、対価がないと、こんなの…
いるま
対価でヤるって選択を選ぶのがおかしいんだよ。
なつ
…ほんとだよ。そんな人生だったのか知らねぇけど…そういうのは、間違ってる。
らん
っ…!!でも俺っ!家が…!!
いるま
いいから。
らん
…は?
いるま
住んで、いいよ。一時的にだけどな。
らん
なつ
ああ。それで家出やめるかどうか、考え直せ。
いるま
俺らは、お前に何も対価は求めねぇよ。
すると、らんは泣きそうな顔をした。
らん
……っ!
らん
(…なんで、こんな優しいんだろう……)











…これが、俺らの同棲の始まりだった。

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