次の日 なかなか寝れなくて早朝に家を出た。
誰よりも先に教室に着いて 机に座りスマホを眺めては突っ伏したりを繰り返していた。
めちゃくちゃ気まずい。
紫耀くんが前の席に座り 荷物を置くと クルッと後ろを振り向いて 私の顔を覗き込んできた。
紫耀くんの目から涙がこぼれ落ち 慌ててポケットからハンドタオルを出すと 手で拒否された。
紫耀くんに椅子から立たされ 教室から廊下に閉め出された。
廊下の窓をふと見ると 校門の方にイヤホンで音楽を聴きながら登校してる海人くんがいた。
目が合い 笑顔でヒラヒラと手を振ってくる海人くん。
ホントにずるい。
これだけで 私の心は好きの気持ちで溢れてしまう。
気づいたら 勝手に走り出していて 昇降口で海人くんと鉢合わせになった。
靴箱に靴をしまい 上履きを履く海人くん。
海人くんが買ってくれたキンモクセイのドライフラワーのレジンが付いたヘアピン
朝付けていこうか迷ったけど 結局付けてきた。
ポンポンと頭を撫でられると そのままいつもみたいに教室のある階へ上がっていく海人くん
なんて切り出そう。
タイミングが今が正解なのかもわかんないけど…
今なら言える気がする。
朝早すぎて 誰もまだ来てないし…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。