第59話

‪𝐃𝐚𝐲1
434
2023/05/24 12:02
あなた
あなた
あ、ありがとう…
過呼吸気味になっていた私の手が震えていたのを察して 萌がペットボトルのキャップを開けて 飲ませてくれた。
萌
あなた これ好きだったの?紅茶しか飲んでなかったよね。
あなた
あなた
紅茶も好きだけど 今はこれが好き。安心するから。
萌
………だってさ!髙橋くん!
髙橋海人
髙橋海人
…よ、良かった///萌ちゃん やめて!笑
永瀬廉
永瀬廉
お、顔色少し戻った?
平野紫耀
平野紫耀
あなた いける?まだ無理だったら 先生に言うけど?
あなた
あなた
…大丈夫!今まで頑張ってきたから 多分 いける!
萌
多分って言ってるけど あなたは本番に強いから 大丈夫だよ。ほら メイク 爆速で直すから 洗面所いくよ!
髙橋海人
髙橋海人
あなたちゃん。舞台袖に行くたびにこれ 少しずつ飲んでて。これ言っちゃうと緊張しちゃうかもしれないけど あなたちゃん 今日凄く綺麗///
萌について行く前に ボソッと囁かれるように言われた一言。


もうその一言が 本番前までずっとずっと耳に残って


あなた
あなた
……ん〜っ////
萌
え、なに ニヤけてんの?もう始まるよ?
あなた
あなた
え、キモかった?
萌
キモかった。あ、幕上がった。
舞台袖に居るはずなのに 緊張のドキドキよりも 次に海人くんと目が合わせられるかのドキドキが勝っていた。


劇は 練習通りに上手く進んで行き クライマックスに。


廉くんと海人くんの描いてくれた脚本は 役と役の掛け合いがコメディっぽくなっていたりして 見ているお客さんを笑いに引き込んでいた。


ダンスも 最初はステップがなかなか上手く出来ずに 萌と休みの日もマンツーマンで指導してもらったりしたお陰で 本番ギリギリにやっと合わせることが出来た。



そして かぐや姫が成長し 月へ帰っていくシーンは 成宮先生が直々に放送部の顧問の先生に 感動するようなクライマックスにしたいと脚本をお願いしてくれた。


そのお陰で 観客席から少しだけすすり泣く声が聞こえた。


やっぱあの先生いいお話描けるんだなぁ…
一方 私は 舞台袖に下がる度に 少しずつ 海人くんから貰った はちみつ柚子茶をちびちびと飲んでいたのもあり 最後の挨拶まで緊張せずに済んだ。
萌
お疲れぇ!さすが!やれば出来んじゃん!
あなた
あなた
セリフ飛ばなくてよかった…
ステージ裏の更衣室で着物を脱いでいると萌に声を掛けられた。
萌
ステップも大丈夫だったし。髙橋くんにお礼いいなよ?
あなた
あなた
そだね、改めて言わなきゃ……っ///
萌
ねぇ、なんか言われた?ステージ始まる前もそうやってニヤけてさー!
あなた
あなた
………綺麗…。
萌
はい?
あなた
あなた
綺麗って言われたの!!////
萌
………はよ付き合え。
あなた
あなた
無理じゃん!告白しなきゃじゃん…!
萌
言えんのか?
あなた
あなた
言う!もう ぜ〜ったい言う!もし…もし 振られちゃっても 後悔しない!
萌
振られないでしょ。あっちから2回も告白されてるんだから。
あなた
あなた
……私がモタモタしてるから 最近 海人くん 文化祭の準備中も他のクラスの女子とか先輩に呼び出されたりしてるの見ちゃってて。
萌
そんなの海人くんだけじゃないじゃん。廉くんも紫耀くんも。なんなら 隣のクラスのジンも岸くんもじゃん。キンプリって呼ばれてんだよ?モテないわけなくない?
あなた
あなた
んん…そだね…
モテるのは分かってるよ。


言う勇気が欲しいの。


海人くんの隣を歩きたいってワガママ。


今まで気づかなかった自分の気持ち。


上手く言葉にして伝えられますようにと


空になったペットボトルにお願いした。

プリ小説オーディオドラマ