第7話

室内で過ごした日
33
2021/08/09 10:53
ザーザーと雨が降っている


今日はあいにくの雨


しかも結構降っている


気分が落ちるような雨の中…
桜木茉優菜
やっほー!
新井優
茉優菜か
そんなことも気にせず茉優菜はここに来た
新井優
お前、この雨の中ここに来たのか?
桜木茉優菜
うん!
おかしい…だとしたらおかしい…


こんな大雨だぞ


なのに…なんで…
新井優
なんで、濡れてないんだ?
茉優菜は濡れていなかった


一滴も水にかかってなくて、晴れの日にでも会いに来たかのような感じだった
桜木茉優菜
傘とかっぱしてきたから!
桜木茉優菜
おかげで濡れないんだ!
新井優
なるほどな
新井優
それで、今日は何しに来たんだ?
桜木茉優菜
え?もちろん!優のしたことないことをしにきたのだよ!
新井優
今日は雨だぞ?
桜木茉優菜
雨でもできるよ!
そういうと茉優菜はかばんの中に手を突っ込んでガサゴソと何かを探しはじめた
桜木茉優菜
じゃーん!!
そういって出てきたのは、スケッチブックと筆箱だった
桜木茉優菜
お絵かきしよ!
新井優
俺、描けないんだけど
桜木茉優菜
大丈夫!
桜木茉優菜
私も下手だよ!
新井優
ならいいけど…

俺はペンを持って何を書くか考えた


書きたいことなんてないしなぁ


そう思っていたら、視界の端の方でスラスラとペンが動いている姿が見えた


そう思ってちらっと見た


茉優菜は真剣な表情でスラスラと何かを描いていた
新井優
(茉優菜の真剣な表情…2回目だな)
茉優菜は時に悩んで頭を抱えたり、一度描いたところを消しゴムで消して描き直したりしていた










そんなとき、
桜木茉優菜
できた!
元気な声でそう言った
桜木茉優菜
優はできた?
新井優
あぁ、できた
俺もあれから一応描き進めていた
桜木茉優菜
じゃあ、せーのでみせよう!
桜木茉優菜
せーのっ!
二人はお互いの絵を見せあった


茉優菜の絵を見て俺は固まった
新井優
…きれい
俺はその絵に一目惚れしたかもしれない


一度見たらどうしても目が離せなくて


その絵に心を奪われていくような、その絵の世界に吸い込まれていくような感じになった
桜木茉優菜
そうかな?そういわれるとうれしい!
俺の絵とは大違いだった
桜木茉優菜
優も絵上手だね!
新井優
お世辞はいいって
桜木茉優菜
そんなことないよ!とっても上手だよ!
新井優
ん…ありがと…
なんか嬉しい気分になった


人に褒められたことがなかったからかな


まず人と接してなかったっていうのもあると思うけど
新井優
雨の日がこんなに充実した日になるなんて…
桜木茉優菜
ね?雨の日でもできること、あるでしょ?
新井優
うん
新井優
楽しかったよ。ありがとう
桜木茉優菜
うん!
雨の日


初めて充実した日になった


外を見ると雨はやんでいて、虹がかかっていた


雫が太陽の光に照らされてキラキラと輝いていた


その光景がとてもきれいで別世界にいるようだった


雨の日が特別な日になった気がした

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