ザーザーと雨が降っている
今日はあいにくの雨
しかも結構降っている
気分が落ちるような雨の中…
そんなことも気にせず茉優菜はここに来た
おかしい…だとしたらおかしい…
こんな大雨だぞ
なのに…なんで…
茉優菜は濡れていなかった
一滴も水にかかってなくて、晴れの日にでも会いに来たかのような感じだった
そういうと茉優菜はかばんの中に手を突っ込んでガサゴソと何かを探しはじめた
そういって出てきたのは、スケッチブックと筆箱だった
俺はペンを持って何を書くか考えた
書きたいことなんてないしなぁ
そう思っていたら、視界の端の方でスラスラとペンが動いている姿が見えた
そう思ってちらっと見た
茉優菜は真剣な表情でスラスラと何かを描いていた
茉優菜は時に悩んで頭を抱えたり、一度描いたところを消しゴムで消して描き直したりしていた
そんなとき、
元気な声でそう言った
俺もあれから一応描き進めていた
二人はお互いの絵を見せあった
茉優菜の絵を見て俺は固まった
俺はその絵に一目惚れしたかもしれない
一度見たらどうしても目が離せなくて
その絵に心を奪われていくような、その絵の世界に吸い込まれていくような感じになった
俺の絵とは大違いだった
なんか嬉しい気分になった
人に褒められたことがなかったからかな
まず人と接してなかったっていうのもあると思うけど
雨の日
初めて充実した日になった
外を見ると雨はやんでいて、虹がかかっていた
雫が太陽の光に照らされてキラキラと輝いていた
その光景がとてもきれいで別世界にいるようだった
雨の日が特別な日になった気がした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!