第5話

蝕まれていく身体
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2021/07/30 11:17
新井優
う…うぅ…
俺は今、病室で点滴を打たれている


普段は打たれなくても大丈夫で、薬を飲んだり注射をしたりして病を少しでも抑えている


だが、少し悪化した場合、点滴を打たなければならない


俺の体に痛みが走る


自分の体が病で蝕まれていってる気がした


どのみち死ぬ体なのに、なぜここまで辛くならなきゃいけないのか
看護師
少し、病が悪化していますね
新井優
う…うぅ…ぅ…
看護師
今から薬を注射します
新井優
…は、い
看護師
では、失礼します
新井優
っ…
腕にチクッとする痛みがした


俺の腕に注射をしている


病の進行を遅める抑制剤らしい


病の進行を遅めるのはいいのだが、副作用の吐き気が嫌すぎる
看護師
終わりました
看護師
1週間は外に出たりせず安静にしていてください
看護師
点滴を抜いたりしないでくださいね
新井優
…わかりました
看護師
それでは失礼します
ガラガラガラ…バタン


なんの音もなく静まりかえった病室


外で本を読むことができないのは苦痛だ


1週間も点滴とともに過ごすのは最悪だ


刺さっている方をうまく動かすことができないから…
新井優
ぅ…おえ…
桜木茉優菜
…優?
新井優
茉優菜か
桜木茉優菜
点滴してるの…?
新井優
あぁ、1週間ずっとこのままだな
桜木茉優菜
そっか…
新井優
茉優菜…?
桜木茉優菜
ごめんね…私のせいだよね…
新井優
なんでそうなる?
もともと、俺のこの病が悪いわけだし
桜木茉優菜
でも…外にいすぎたからなのかなって…
新井優
いや、俺、読書するときは外にいるし
桜木茉優菜
そっか…
新井優
茉優菜が気にすることじゃない
桜木茉優菜
ならいいんだけど…
新井優
全く…元気出せよ
新井優
読書する時間が増えたんだ
新井優
本、読もうぜ?
桜木茉優菜
…!うん!
俺はこの重苦しい空気を変えるために茉優菜と読書をすることにした


静かだ


茉優菜といるときはいつも騒がしいから、なんか新鮮だ


茉優菜は医学の本を読んでいる


興味あるとか言ってたっけ?


吐き気が収まらないので、なかなか読書に集中できないが、それでも無理やり集中した
新井優
茉優菜はなんで医学に興味があるの?
桜木茉優菜
私ね、人を助けるのが好きなんだよね!
桜木茉優菜
人を助けたあとってなんか誇らしく感じれて好きなんだよね!
新井優
そうなんだ
桜木茉優菜
優はなんで読書が好きなの?
新井優
俺のお見舞いに来る人とかいないから暇つぶしで読んでたらハマってた
桜木茉優菜
そうだったんだ…
桜木茉優菜
というか、誰も来ないのって寂しいね…
新井優
そうか?
桜木茉優菜
うん…私だったら寂しいよ…
新井優
そうなんだな
桜木茉優菜
私が毎日優のお見舞いに行ってあげるね!
新井優
え!?いいよ、めんどくさいだろ?
桜木茉優菜
私が行きたいからいいの!
新井優
…ありがとな
桜木茉優菜
うん!
毎日のお見舞いはめんどくさいとか茉優菜は思わないのか?


俺なんかのためにお見舞いに来てくれるとか


茉優菜は優しい


そう思った


茉優菜は医学の本をまた読み始めた


茉優菜のことを少し知ることができた気がした


茉優菜に少し興味を持った気がした

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