第2話

何かが起こる予感
31
2021/07/26 03:48
ミーンミンミン


うるさい蝉の声が聞こえてくる


そう思い俺は目を開けた


真っ白い天井


ふかふかのベッド


特に不自由ない生活…とは言えないな
新井優
はぁ…出かけるか
俺は本を持って部屋を出た
看護師
新井さん、どちらへ?
新井優
少し散歩をしに
看護師
わかりました
早めにお帰りくださいね
看護師
あと、なるべく遠くへ行かないように
新井優
わかっています
新井優
それでは
看護師が俺を心配するのは当然だ


俺は重い病にかかっている


治ることのない病気で余命もあまりない


そう言われた


両親は事故で亡くなってしまった


俺は学校に通うことができないので友人といえる人なんていない


なので俺にお見舞いをしてくる人は誰もいない


することもない俺は日陰に行き本を読むことが日常となっていた


新井優
やっぱりここが落ち着く
俺が一番落ち着く場所、それは神社だ


病院の隣は神社になっているのでよくここに来ては本を読んでいる


俺はいつも神社の敷地内の奥の方にある木に寄りかかって本を読んでいる


その場所は誰もいないので落ち着くのだ
外はとても暑く、日差しが強い


そしてうるさすぎる蝉の声


本当にうざくて本を読むのに最適ではないが、風が吹いたときの木が揺れる音が心地よく聞こえるのでそこで読んでいるのだ
新井優
んー…そろそろ戻らないとな
ザワッ
新井優
ん…?なんだ?
音のなる方を見たけれど特に何もいなかった
新井優
なんだ…気のせいか
新井優
(あそこに誰かいた気がするんだけどな)
俺は本にしおりを挟み、病院の方へ向かった
???
………







病院へ着くと、待っていたのは看護師だった
看護師
新井さん、おかえりなさい
看護師
病室に戻って異常がないか検査をします
新井優
わかりました
看護師
では、いきましょう
新井優
(はぁ、また検査か)

検査


それはとてもめんどくさい


いちいち看護師の質問に答えなくちゃいけないし、


外で何をしたとか言わなきゃいけない


なんで好きでもないのにこんなことしなくちゃいけないのか






看護師
検査は以上です
看護師
お疲れ様でした
新井優
ありがとうございました

ガラガラ…バタン

新井優
はぁ…つかれたぁ…
???
………
新井優
ん…?
新井優
君、そこで何してるの?
目の前には俺と同じくらいの女子がいた


この病室は個室で俺しかこの病室に入院していない


俺は間違ってきたのかなって思った
???
あやや、バレちゃった?
新井優
バレてるけれど
???
あはは、見つかっちゃった
新井優
君、誰?
???
私?私はねぇ
桜木茉優菜
茉優菜まゆな桜木茉優菜さくらぎまゆなだよ!
新井優
そう
桜木茉優菜
君は?
新井優
新井優あらいゆう
桜木茉優菜
そうなんだ!よろしくね!
俺は初めて看護師以外の人と話した


不思議な感覚だった


俺はその時から何かが起こるのではないか


そう思ったりもした


そんな夢のような話あるわけないのに

プリ小説オーディオドラマ