第24話

氷上を駆け抜ける
6,362
2020/06/18 17:00
尻尾を器用に使いながら進む尾白くん、

酸で上手に地面を滑る三奈さん、

翼を広げた 黒影ダークシャドウと共に飛ぶ常闇くん。
あなた

私も、負けてられない!


次に飛び移った生徒の肩から大きく飛び上がると、

その勢いのまま氷上を滑り進んだ。


(氷上で動いたのはこれが初めてじゃないもんね!)



重心に気をつけながら、スピードを落とさぬよう生徒達を避けて轟くんの後を追いかける。



以前の森ステージでのヒーロー実習の授業で、

轟くんとは一度ぶつかっている。


轟くんの出した氷柱の上を裸足で滑ったせいで、足の裏はかなりの低温火傷を負っていたが。
芦戸 三奈
ななっ?!あなたちゃん、早くない?!
尾白 猿尾
やっぱり只者じゃない…!
常闇 踏陰
早い!
『スーーー、スーーー』

冷たい風が頬を撫で、

尾白くんと三奈さん、常闇くんを抜かした前方には勝己、百さん、青山くん、切島くんが走っていた。


依然としてトップは轟くんなのは変わらない。


(少しでも、追いつけっ!!!)


『スルルルルルッ』

スピードを上げて不安定な凍りついた地面を滑り進むと、
切島 鋭児郎
俺も負けてらんねぇ!
爆豪 勝己
そこを退け、前髪野郎ォォオオオッ!!!
八百万 百
やっと前方4人の背中を追い抜いた。


振り向きざまに横目で生徒達が追いかけてくるのを確認する。



(この調子で走り抜け…)


と、思いきや…



『ポンポンポンッ!』

紫色の粘着作用のある " もぎもぎ " を後ろから投げられる。
あなた

わっ?!

咄嗟に避けたところで、漸く長く続いた氷上から普通の地面に変わっていた。


(この個性って…)


前転で受身を取り、すぐに起き上がると前を見つめる。
あなた

やっぱり峰田くん!

頭からちぎった " もぎもぎ " を足場にして来たらしい。


(そんな使い方もあったなんて…凄い!)
峰田 実
木奥には当たらなかったけど!食らえ!オイラの必殺!グレー

『WHAM!(ガンッ!)』
峰田 実
ぬぁぁぁあっ?!?!
緑谷 出久
峰田くん?!
あなた

峰田くん!

いきなり横からぬっと出てきたのは機械のアーム。

峰田くんはそのアームによって弾き飛ばされてしまった。


駆けつけたデクくんは目を大きく見開いて呟く。
緑谷 出久
入試の…仮想ヴィラン?!
あなた

入試の仮想ヴィランって…



『噂になってるよ、あんたの事。突然編入してきた、ヒーロー科の特別待遇を受けた女子生徒が居るって。』


『入学試験も受けずに編入とはね、凄いじゃん。相当な力持ってんだろうけど、雄英体育祭はそう上手くはいかないよ。』


『あんたが本当に入学試験を無条件でパスするぐらいの実力があんのか、雄英体育祭で見せて貰うから。』



1-Aのクラスに訪れた時の心操人使くんが言っていた言葉を思い出す。


(入学試験で皆はこれを相手したって事…?!)


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