第11話

3人のプロヒーロー
7,463
2020/03/22 17:00

(そりゃそうだよね…ジッパーが何処に潜んでいるのか分からない今、私の素性なんて公に晒せないし、)


体勢を低くして、するりするりとマスコミの間をどんどん進んでいく。


(私は雄英で秘密裏に保護されてる訳だからね…)



漸く校門の真ん前へと来た時、肩をトンッと叩かれた。
マスコミ
ねぇ、君。その制服からして…雄英の生徒さんだよね?
あなた

私はここで振り返らないのも変だと思い、ゆっくりと振り返る。

私の背に広がっていた光景に私は今気づいた。
マスコミ
こんな時間に、どうしてここに居るのかな?
沢山の目が私を見ていた。

思わず呼吸が詰まる。


(どうしよう、ここで話さないのも、可笑しい、し…でも、話したって妙に…思われ、る…!)
あなた

!!!

マスコミ
…もしかして、言えない事情でもある感じかな?少しお話聞かせてくれない?
あなた

っ…


(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう…)



この5文字だけが脳内でぐるぐると迷走する。


カメラの用意をした多くのカメラマンが肩に撮影用カメラを担ぎ始め、

私の方へとマイクとレコーダーを向けられる。
あなた

…っぁ、の…

ねぇ!そこの可愛い生徒さん、急がなくて大丈夫なの?!
(どうしよう、ここを何とか…)
ねぇっ!
(切り抜けないと…!)
ねぇってば!
あなた

えっ

声のする方へと顔を向けると、
2人の男の人と1人の女の人が1番手前の出店の前で立っていた。


派手で凝ったコスチュームを着ている。
マスコミ
早速プロヒーロー発見!
あなた

プロ、ヒーロー…

マスコミ
Mt.レディだ!それに、シンリンカムイにデステゴロ!
あなた

Mt.レディに…シンリン、カムイ…デステゴロ…?

私の反応をみると、Mt.レディは紫のハーフマスクの下からでも分かる驚いた表情を見せた。
Mt.レディ
嘘!私達の事知らないの?!
シンリンカムイ
仕方ない、まだ駆け出しだからな。
Mt.レディ
いやいやいや!私達、結構テレビとかでも出てると思うんだけど?!
デステゴロ
まぁ、落ち着け、Mt.レディ。
マスコミ
御三方も雄英の警備目的で配属を?!
Mt.レディ
そうで〜す!
Mt.レディは私の方へとスタスタと足を進めると、
私の手首を掴んで雄英の中へと引いた。

足はあっという間に校門を跨ぎ、背の高いMt.レディは私を見下ろすとにっこり笑ってウインクする。
Mt.レディ
寝坊した生徒が居るって聞いてたけど、貴方の事だったのね。今日という日に寝坊しちゃうなんて、とんだお寝坊さんね。
あなた

シンリンカムイ
早くしないと雄英体育祭が始まるぞ。急げ。
あなた

は、はい!

デステゴロ
途中まで彼女を送っていこう。
Mt.レディ
そうね〜!
Mt.レディはマスコミの方へと手を軽くひらひらと振ると、私の肩を抱いてその場を後にした。
Mt.レディ
じゃ、報道陣の皆さんもお仕事頑張って下さ〜い!また会場の中で〜!

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