第17話

『許してねぇからな』と『関わるな』
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2020/05/04 17:00
砂藤 力道
そういや、木奥のお見舞いにクッキー持って行ったんだけど、もう食った?
瀬呂 範太
え、それって急がなきゃやばいやつ?
飯田 天哉
いいや!木奥くんがいつ食べても良いようにと皆で賞味期限が長く持つものを作ったんじゃないか!
切島 鋭児郎
なら、大丈夫だろ!
轟 焦凍
峰田 実
って、おいおいおい!どうしたんだよ、木奥?!
上鳴 電気
え、まだ何処か痛む感じ?!
葉隠 透
あなたちゃん、大丈夫?!
あなた

ち、違…っ、、

優しさに直に触れると、心はこんなに素直になってしまうのかと改めて分かる。

耐えられなかった、皆の優しさに。
あなた

っ、っっ、……私もっ、皆が無事で良かった……

『ポロッ、ポロポロッ…』
あなた

わたっ、し、怖かっ、たから…皆に会えなくなるのも、いっ、や、だったしっ…

どんなに抑えようとしても涙が止まらない。

我慢しようとすると喉がきゅっと締められるように苦しくなって、嗚咽が漏れ出る。
あなた

本当にっ…良かっ、た……

女子
あなたちゃん…!!!
私を抱き締める力がぎゅっと一層強くなる。



『スタッ、スタッ…』

私より背の高い影が私の身体に重なった。
爆豪 勝己
おい、いつまでそんな話してやがる。
緑谷 出久
か、かっちゃん…?!
あなた

爆豪 勝己
俺は許してねぇからな。
全員
?!
あなた

前もって覚悟していた言葉は一瞬で胸に突き刺さった。


分かっていたし、覚悟だってしていた筈なのに、

いざ言われると何も言えない程苦しかった。
爆豪 勝己
………許して欲しけりゃ出ろ。
あなた

……『出ろ』って

轟 焦凍
雄英体育祭だ。
少し離れたところにデクくんと対面した轟くんが居た。

但し、轟くんは私の方を見ておらず、真正面からデクくんを捉えている。
轟 焦凍
緑谷、
緑谷 出久
轟くん…何?

(…轟くん?)
轟 焦凍
客観的に見ても実力は俺の方だと思う。
緑谷 出久
え、う、うん…
轟 焦凍
けどお前、オールマイトに目ぇ掛けられてるよな。別にそこ詮索するつもりは無ぇが…
緑谷 出久
っ…
轟 焦凍
お前には勝つぞ。
緑谷 出久
…!!
全員
?!
あなた

!!

上鳴 電気
おぉ…クラス最強が宣戦布告?!
切島 鋭児郎
おいおい、急に喧嘩腰でどうした…?!直前に止めろって…
轟 焦凍
それは木奥、お前も同じだ。
あなた

緊迫した空気。

轟くん特有の氷のように冷たい鋭い視線。

指先から凍てつかれそうな迫力。


私は瞬きすらも出来なくなってしまった。
あなた

轟 焦凍
仲良しごっこじゃねぇんだ。何でもいいだろ。
切島くんが轟くんを止めようと置いた方を払った彼は今度は私に言い放つ。
轟 焦凍
お前、本当に俺達と向き合う気があるなら雄英体育祭に出ろ。無いなら、もう関わるな。

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