第23話

弾ませ、爪先
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2020/06/12 17:00
『バタバタバタバタッ!』

一斉に群れをなした11クラスの生徒達が、スタートゲートであるトンネルに向かって動いていく。
あなた

っ…

私も負けじと足を前へと動かすも、

『バタバタッッ…』
あなた

ある事に気づいて足を止めた。


『ドンッ!!!』
生徒
おい!そんな所で立ち止まるなよ!
あなた

あ、ご、ごめん!

ぶつかった生徒はトンネルに向かう生徒の群れへと入っていく。

まるで大きな生き物みたいだった。




あなた

『コースを守れば、何をしたって構わない』んだよね…?







『バタバタッ…』

駆け出す生徒達が私を追い抜いて行くのを揺れ動く風を通して感じた私は、

その場にしゃがみ、靴紐を結び直した。







プレゼントマイク
さぁーて、実況していくぜ!
Are you ready,ミイラマン?
相澤 消太
無理矢理呼んだんだろうが。
プレゼントマイク
早速だがミイラマン、序盤の見所は?
相澤 消太
今だよ。
プレゼントマイク
今?
『ピロンッ!』


スタジアムの映像パネルに、

トンネル内での大勢の生徒が団子になって混みあう様子が流れる。
プレゼントマイク
ワーオ、これは大変だ!
相澤 消太
このレースのスタート地点から最初のふるいだ。この状況をどう打破出来るかで今後のレースにも影響してくる。
プレゼントマイク
成程!
相澤 消太
まぁ、中にはそれに気づいていた人間も居るようだがな。
プレゼントマイク
って、それは一体…

『ドタドタッ、バタバタッ!!!』

『ギュウッ、ギュウギュウッ…』
生徒
おいおい!
生徒
痛ぇっ!
生徒
押さないでよ!
生徒
ちょ、狭すぎっ!
" おしくらまんじゅう " 状態の暗いトンネル内に走り出した私は、




『トンッ!』




地面を蹴り、最後列の生徒の肩を掴んだ。


生徒
おい、誰だ、俺の肩を掴んだ…の…は…


上を見上げた生徒と目が合う。

生徒
なっ、?!と、飛んでる?!
あなた

ごめん!

プレゼントマイク
おおっと、凄まじい跳躍で次々に抜かしていくのはー…
相澤 消太
プレゼントマイク
A組の木奥 あなただぁ!!!!


踏み台にした生徒に一言謝ると、

身体をそのまま生徒達の頭上に滑らせた。

生徒
誰か私の肩触った?!
生徒
おい、誰か上を通ったぞ!
『トンッ、トンッ、トンッ…』

全ての体重をかけない様に意識をしながら、つま先を弾ませる感覚で次々に生徒の上を飛び移って行く。

『トンッ、トトンッ…』



トンネル内の中間辺りの地点に着いた時、

一瞬にして氷のように冷たい空気がトンネル内を覆った。



『カチカチカチカチッ…!』
あなた

っ!

瞬く間に広がる氷の地面が生徒達の足を捕らえて離さない。
生徒
な、なんだよ、これ!!!
生徒
冷たっ、動けねぇっ…!
轟 焦凍
悪いな。
生徒の足を凍らせて足止めをした張本人は、

真っ直ぐにそのままゴールを目指して走り続ける。
爆豪 勝己
オラァァァッ!!!
『Bom!』

個性の爆破でトップを目指す勝己、

私の前を行く百さんと切島くん、

ネビルレーザーで一気にトンネル内の生徒から距離をとる青山くん。
八百万 百
甘いわ、轟さん!
爆豪 勝己
行かせねぇぞ、半分野郎!!!

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