2人の青年が話をしている。そのうちの1人、黒髪の青年は会話をしながらこちらを警戒しながら、鋭い視線を送っている。
思わず感心してしまう。だが、余りにも此方に意識を強く寄せすぎた。別の場所にも、意識を向けていれば気づけていたかもしれないのに。
「これが呪物?指?」
『ただの指じゃない特級呪物両面宿儺の指だ……危ないから早くっ……』
上から突如やってきた腕。それから離すために、青年はもう1人の青年を突き飛ばした。
「伏黒!!」
『っ逃げろ!』
その腕に捕まって、視界から見えない場所にへと強制的に移動させられた。突き飛ばされた青年はレミリアを見ることもなく、捕まった青年を助けにすぐに向かった。
腕によって破壊され、夜空が見えるようになった天井を見上げた。
突き飛ばす前の青年の顔は、焦りや不安の入り混じった物だった。特に声色からも焦りの面が強かったように感じられた。
つまり、力量差は理解していたはず。なのに、突き飛ばしてもしかしたらやられてしまうかもしれない相手に挑みに行った。僅かにでも可能性のある自分が、相手を傷をつけないように___
基本的にどの世界でも、「レミリア・スカーレット」が持っている能力である『運命を操る程度の能力』を使ってほんの僅か先の未来を見た。
ここで、永い年月の未来をみても別に良い。だけれど、そうしないのには理由は勿論あるのだ。
確かにそこにある運命を手繰り寄せて。
そして、見えた『運命』
この世界に来てしまってからと言うものの、連続で面白い場面に遭遇していると、思う。
全くもってなかった感情が、強く芽を伸ばして芽生えた。
それはそれとして___
思い直して、そろそろ良いタイミングだろうと、突き破られている天井を見定めて。
軽くその地を蹴って、上に飛んだ。
なぜなら、そろそろ見れる頃合いだからであった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!