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2018/02/19

第1話

この気持ちに蓋をして
 

「なぁ、」
「ん?」

「…これ、もらってくれね?」


卒業式。節目の季節。
だったら、この気持ちにも区切りを付けないといけない季節。


「んだコレ。…ん?お前の第2ボタンじゃねぇの?」
「誰も貰ってくれる人居ないんだよ笑分かって笑」
「あぁ。そう言う事かw…ま、俺は彼女にあげたからもうねぇケドw」
「うっぜw…ま、良いから受け取れよ。」
「しょうがねぇなぁ。…大事に持っててやるよw」


そう言って、俺の第2ボタンを受け取ったアイツ。…俺の気持ちなんてアイツは一生知らない。…いや、知らなくていいんだ。どうせ、あのボタンは捨てるか忘れるかするのだろう。…でも、それでもアイツは、嫌がらずに受け取ってくれた。俺にはそれで、充分、なんだ。



「あざす。」



少しの沈黙の後、

「あー。じゃ俺これからクラスの打ち上げ行く。」
「おう。…卒業、おめでとうな」
「お前もな。…じゃ、また連絡する」
「…じゃあな」


…そう言って、アイツは背を向けた。
背中が見えた瞬間に今までの想いが、込み上げて来たような気がした。
…でも、それでも
…蓋をしなきゃ、いけないんだ…。


気付かれない
その方が幸せだ。

捨てるだろうか
それでもいい。

これでいいのか
充分だ。




これで、蓋をすれば良いだけ。



自分の中で、決心を固めたその時、
先を行ったアイツが
「あ、そうだ」
とくるりと振り返り、





俺が、どうしようもなく焦がれた、あの、眩しい笑顔で




「お前とダチで、よかった」



と最後、言い放ち

今度こそ、振り返る事は無かった。





…あぁ。俺はアイツにとって、良い友人であれたんだ。………よかった。
















……本当に?


本当は、彼女なんか作って欲しくなかったのではないのか、本当は気持ちを伝えたかったのではないのか、本当はあげた第2ボタンだって、捨ててなんか欲しくないのではないのか、本当は…………

何も、足りていないんじゃないのか。






……こんな事、今更考えた所でもう、遅い。

残された俺は、同級生達のガヤガヤとした音の中、1人佇んでいた。

…胸の奥で、キュ。と音が鳴る。
口の中に1滴流れ込んだ水は 、とても甘かった。