第15話

☺︎
1,087
2019/10/12 13:49
それから退院までの1週間、

彼は毎日お見舞いに来てくれた。

なんで私にここまでしてくれるのか、

とても不思議だったけど、

彼の心配してくれる気持ちは素直に嬉しかった

慎と話すうちに、彼はとっても真っ直ぐで、

純粋で、

可愛くて、

素直な人だなと分かった。
慎
もう明日で退院じゃん
You
You
うん。慎が毎日来てくれたおかげで、
すっごく元気になったよ、ありがとう。
慎
それは良かった!
まあ、俺のおかげだな笑
You
You
自分で言うな!
ふははって慎が嬉しそうに笑って、

私もつられて笑って、

久しぶりに楽しくて自然と笑えていた自分がいることに気づいた。
慎
明日が過ぎても...会えない?
You
You
...え?
彼は私の隣に座って、

私の手をそっと握った。
慎
好きなんだ。
あの時から、初めてあった時からずっと、好きなんだ。
私はとても驚いて、ただ戸惑っていた。

どうやっても、今の私には...

彼の気持ちに応えることなんてできない。
慎
退院しても友達としてでいいから...
会えないかな?...俺たち。
真っ直ぐな眼差しで私を見る彼。

真っ直ぐな言葉で私の心に直に踏み込んでくる彼。

冷めきった心を温めてくれた彼。

でも...。

You
You
私、ずっと忘れられない人がいるの。
私が下を向いてそう言うと、

彼は全て分かっていたかのように、

うん、と優しく頷いた。
慎
いいんだ。それであなたの力になりたい。 一緒にいたいんだ。迷惑じゃなければ、だけど。
You
You
迷惑なんかじゃないよ。慎といるのは楽しいし、温かい気持ちになれる。
You
You
でも...
慎
それなら、一緒にいよう?
誰の方を向いててもいいから。俺といる時は少しだけ...俺の方を向いてて。
真っ直ぐで、ただ純粋に私のことを好きだと言ってくれた彼。

誰の方を向いててもいいから、と言った彼。
慎
好きだ。
誠は自分に呟くようにポツリとそう言うと、

私を優しく抱きしめてくれた。

彼の腕の中はとても温かくて、

優しくて、

私の中のいろんなものを全て包み込んでくれているような気がした。
You
You
ありがとう。

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