第30話

☺︎
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2019/10/21 04:56
目が覚めると既に時計は正午を過ぎていた。

日差しが眩しくて、

私の心を無理矢理に照らそうとしているようで、

素早くカーテンを閉める。

ズキズキ痛む頭を起こして鏡を見ると、

瞼は腫れ上がって顔もパンパンで酷いものだった。

はぁ、と小さくため息をついてスマホを見ると翔吾さんからメッセージが届いていた。

やっぱり翔吾さんはなんでもお見通しだ。

(酷い顔見られたくないだろうからポストに入れとくよ、あんまり泣きすぎるなよ。)

仕事へ行く前に持ってきてくれたんだろうか。

朝方に届いていた。

〔ありがとうございます。翔吾さんこそ仕事無 理し過ぎないでね。〕

そう送るとすぐに既読がついて返信がきた。

(人の事はいいから、自分の心配だけしてろ😡)

文末の起こった絵文字がなんだか可愛くて、

ふふっと小さく笑みがこぼれた。

ふと我に返って、慌ててポストへと走る。

あった。

真っ白な封筒に、陸の字で書かれた私の名前。


______陸の字だ。


裏返すと陸が大好きだった犬のシールが貼ってあって、

笑いと同時に涙がこぼれる。

あぁ、本当にこれは陸からの手紙だ。

込み上げてくる涙に苦しくなって、

玄関に崩れ落ちるように座り込んだ。

陸とのたくさんの思い出が頭の中を駆け巡った

ゆっくりと慎重に、封筒を開く。

見てしまったら、

何かが変わってしまうような気がした。

なんだか怖くて押しつぶされそうになりながら

私はゆっくりと1枚の手紙を取り出した。



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