目が覚めると既に時計は正午を過ぎていた。
日差しが眩しくて、
私の心を無理矢理に照らそうとしているようで、
素早くカーテンを閉める。
ズキズキ痛む頭を起こして鏡を見ると、
瞼は腫れ上がって顔もパンパンで酷いものだった。
はぁ、と小さくため息をついてスマホを見ると翔吾さんからメッセージが届いていた。
やっぱり翔吾さんはなんでもお見通しだ。
(酷い顔見られたくないだろうからポストに入れとくよ、あんまり泣きすぎるなよ。)
仕事へ行く前に持ってきてくれたんだろうか。
朝方に届いていた。
〔ありがとうございます。翔吾さんこそ仕事無 理し過ぎないでね。〕
そう送るとすぐに既読がついて返信がきた。
(人の事はいいから、自分の心配だけしてろ😡)
文末の起こった絵文字がなんだか可愛くて、
ふふっと小さく笑みがこぼれた。
ふと我に返って、慌ててポストへと走る。
あった。
真っ白な封筒に、陸の字で書かれた私の名前。
______陸の字だ。
裏返すと陸が大好きだった犬のシールが貼ってあって、
笑いと同時に涙がこぼれる。
あぁ、本当にこれは陸からの手紙だ。
込み上げてくる涙に苦しくなって、
玄関に崩れ落ちるように座り込んだ。
陸とのたくさんの思い出が頭の中を駆け巡った
ゆっくりと慎重に、封筒を開く。
見てしまったら、
何かが変わってしまうような気がした。
なんだか怖くて押しつぶされそうになりながら
私はゆっくりと1枚の手紙を取り出した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。