第32話

☺︎
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2019/10/24 11:47
どこからか強い風がびゅうっと吹き込んできて、

私の髪の毛を揺らした。

手紙に落ちた陸の涙の乾いた跡が、

陸がそこで生きていた証を残していたみたいだった。


陸は最後まで強く、強く生きていた。

手紙を胸に当ててしっかりと陸を抱きしめて、

声をあげて泣いた。

このまま溶けてしまいそうだった。

陸の思いと彼の言葉。

全てが私を溶かしていくようだった。

私の冷め切った心を。



陸...

私も会いたいよ。

私も陸に出会えて良かった。

陸を愛することができて良かった。

陸に愛してもらえて、

本当に幸せだった。

私の方が愛してる。

いつまでも。

忘れたりなんてしない。

あなたは私の中でずっと...

生き続けてるよ。

もう私の身体の一部なんだよ。

どうやったって、

取り除くことなんてできないんだから。

心の底から

あなたのことを愛してる。


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