第8話

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2019/10/09 09:59
彼に、彼の友達が私に会いにきた。

私はずっと、

別れてからも離れてからもずっと、

彼のことで頭がいっぱいだった。



彼の友達言った。

あいつには失望しないでくれ、と。

彼は私に弱い姿を見られたくなかった。

陸はもう先が長くなくて、

あなたを幸せにできない自分が、

あなたの隣に居続けることが出来ない自分が

よっぽど悔しかったんだと思う、と。

陸、

なんで...

言葉が出ないとはこういうことか、と。

私は何も言わずに、

何も言えずに呆然としていた。

彼の笑ってる顔が、

私を愛おしそうに見つめる瞳が、

楽しそうにはしゃぐ姿が、

彼の腕の中の体温が、

私の中を流れて血となっていくように何度も、

何度も思い出された。

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