あーあ。
今年もクリぼっちかよ。
最悪だ。
何であの時、彼女の手を離してしまったんだろう。
あーあ...。
本当に終わったんだな、俺たち...
もしかしたら始まってまあなかったのかもしれない。
恋なんてするもんじゃない、本当に。
こんな気持ちになるのはいつだって、
耐えられない...。
溢れてくる涙までも飲み込むように、
俺は冷めたホットチョコレートを無理やり流し込んだ。
苦しくなった胸を叩いて、
吐きそうになるのを抑える。
さっきまであなたがいた空間を見つめる。
あなたの笑った顔を思い出す。
泣いた顔を、思い出す。
照れた顔、
嬉しそうな顔、
寂しそうな顔。
大切な人のことを思い出して涙を流す、
あなたの顔。
ぐしゃぐしゃと頭をかいて、くそっ
とやり場のない感情を自分にぶつける。
何が正解だったのか、
どうすべきだったのか、
俺にはわからない。
ただ俺のだした決断が正しかったと信じるしか他になかった。
どんな日にも、朝は来る。
迎えたくない日。
孤独の日。
自分をまた誰かがもういない日。
窓から差し込んだ強い日の光の眩しさで目を覚ました。
彼女も大切な人を失ったとき、
こんな気持ちだったんだろうか。
孤独と寂しさと冷たさで覆われた世界。
俺の世界から彼女が消えた瞬間、
どこからともなくそれは訪れていた。
「____愛してる。」
手を伸ばして空を掴む。
脳裏に浮かぶ彼女を想いながら小さく呟いた言葉は、
行き場を失ってどこかへ消えた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。