第27話

☺︎
807
2019/10/20 00:54
あーあ。

今年もクリぼっちかよ。

最悪だ。

何であの時、彼女の手を離してしまったんだろう。

あーあ...。

本当に終わったんだな、俺たち...

もしかしたら始まってまあなかったのかもしれない。

恋なんてするもんじゃない、本当に。

こんな気持ちになるのはいつだって、

耐えられない...。

溢れてくる涙までも飲み込むように、

俺は冷めたホットチョコレートを無理やり流し込んだ。
慎
さっむ。
苦しくなった胸を叩いて、

吐きそうになるのを抑える。

さっきまであなたがいた空間を見つめる。

あなたの笑った顔を思い出す。

泣いた顔を、思い出す。

照れた顔、

嬉しそうな顔、

寂しそうな顔。

大切な人のことを思い出して涙を流す、

あなたの顔。
慎
あぁーーー!本当にっ...
ぐしゃぐしゃと頭をかいて、くそっ

とやり場のない感情を自分にぶつける。
慎
何やってんだ俺...。
何が正解だったのか、

どうすべきだったのか、

俺にはわからない。

ただ俺のだした決断が正しかったと信じるしか他になかった。



どんな日にも、朝は来る。

迎えたくない日。

孤独の日。

自分をまた誰かがもういない日。

窓から差し込んだ強い日の光の眩しさで目を覚ました。

彼女も大切な人を失ったとき、

こんな気持ちだったんだろうか。

孤独と寂しさと冷たさで覆われた世界。

俺の世界から彼女が消えた瞬間、

どこからともなくそれは訪れていた。


「____愛してる。」


手を伸ばして空を掴む。

脳裏に浮かぶ彼女を想いながら小さく呟いた言葉は、

行き場を失ってどこかへ消えた。

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