第21話

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878
2019/10/17 06:34
You
You
...あれ?さっきの、 
あの、本当にありがとうこざいました。
診察を終えた彼女が病室に戻ってくると、

驚くと同時に不思議そうな顔をしてまだ彼女の病室にいた俺を見た。

一度は帰ろうと思ったけど、

やっぱりそんな簡単に彼女を放っておかなかった。

俺の中にはなぜか彼女を支えたいという感情が芽生えていた。
慎
入院しないといけないんですよね?
You
You
あぁ、そうみたいです。
慎
あの、お見舞い...来ていいですか?
彼女は拍子抜けしたように目をぱちぱちと瞬かせて一瞬何が起きているのかと考えているようだった。
慎
俺にできることがあったらなんでも手伝いますから!
You
You
いえ、そんな!悪いです。
助けていただいただけでも感謝しきれないくらいなのに。
慎
ほっとけないんです、心配で!
気づけば、

自分が言葉にできる精一杯の感情を彼女にぶつけていた。

本当に、心配だった。

そして彼女のそばに居たかった。

その時、彼女の瞳からキラキラと光るものが流れた。
慎
えっ...
驚いて言葉を失った。
You
You
え...?あっ、ごめんなさい、
あの、本当に、ありがとう...。
彼女は自分でも泣いてることに気づいていなかったかのように驚いていた。

彼女の表情が少し曇ったように感じた。
慎
大丈夫ですか?
あの、なんかすいません。
迷惑だったら来ないから。
何かまずいことをした気分になって帰ろうかと思った時だった。
You
You
迷惑なんかじゃないです。なんか、
こんな温かい言葉をかけてもらって
その、嬉しかったです。
彼女は本当に俺の言葉き嬉しかったみたいに優しく微笑んだ。

俺の中のいろんなものが崩れていくような音がした。

この人の笑顔をもっと見たい。

ずっと見ていたい。

ただ純粋にそう思った。
慎
じゃあ、また明日来ますから!
笑って少し細くなった彼女の瞳はとても温かく、優しく見えた。
You
You
ありがとう、待ってます。
そう言ってまた笑った彼女を抱きしめたい気持ちでいっぱいになりながら病室をあとにした。

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