『なぁ、あんな子いたっけ?』
今日は、高校の同窓会で、顔を出した。
そしたらどれだけ遡ってもわからん子がおって。
誰やろ思い、和也に聞いた。
和也「んー?あー、あなたちゃんだよ、忘れた?」
『え、まじで?』
高校時代、
黒髪、メガネの女の子やった。
休み時間は友達と話してて、その笑顔が俺は好きやった。
かわいいな思って、話さず終わった3年間。
そんな今、同窓会に顔を出したら、
髪は茶髪になって、コンタクトかな?メガネしてなくて、そんな面影がなくなってた、
和也「どしたん?気になるん??(笑)」
『いやー、あんな地味な子が変わったなぁ思って、』
「どうせ、私は地味な子でしたよ、」
『えっ』
振り向いたら、いつの間にか後ろにいて、
聞かれてもうた。
『いや、ちがっ…』
「じゃ」
俺に聞く耳もたず、スタスタと歩いていく、
和也「やってもうたなぁ、(笑)」
『笑い事、ちゃうで……………ちょ、俺行ってくるわ、』
なんてしてでも、誤解を解きたい、
そして好きやったと伝えたい、
『あ、あの!』
「…………からかいに来ました?昔、地味やったのに、髪染めて、メガネ外して、」
今にでも泣きそうな顔になって
「ふ、藤原くんに、会えるかなって………頑張っておしゃれしたのに…………地味は地味な格好の方が、いいですよね………」
泣くのを我慢しながら震えた声でゆった。
俺は、後ろから抱きしめた。
「えっ…」
『昔も今もかわええよ。昔は友達と話してた笑顔が大好きやった。見ててかわええのに、なって。ほかの子みたいにおしゃれせんのんかなって、思ってた。今はもう誰にも渡したくないぐらい、かわええ』
「………は、離れてください……」
『あ、いや、ごめん……』
「藤原くんは、昔も今もかわらずかっこいいですよね、」
そんな君と俺が付き合うのは
数か月後の話。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!