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第1話

高校受験
210
2021/07/05 13:13
センラside
受験シーズン真っ只中の冬。
はぁ、とため息をつけば白い息が現れる。
と、前を歩く紫髪の少年が見えた。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
志麻!
彼の肩を叩いくと、ビクッと震えて振り返る。
メガネの奥の大きな紫の瞳が俺を見つめる。
浦田 志麻
浦田 志麻
ビックリしたぁ…センラか…
黄百合 センラ
黄百合 センラ
おはよぉー。
浦田 志麻
浦田 志麻
はよ。今日テストだよ。勉強した?
黄百合 センラ
黄百合 センラ
してへん。キッパリ
浦田 志麻
浦田 志麻
しなさいな。もう。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
へぇ…ところで、志麻は高校どうすんの?
浦田 志麻
浦田 志麻
うーん…俺は親に決められてっからな〜
黄百合 センラ
黄百合 センラ
どこなん?
浦田 志麻
浦田 志麻
青空付属。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
えっ!頭よ!!!!
浦田 志麻
浦田 志麻
センラは?
黄百合 センラ
黄百合 センラ
俺晴天高校かなぁ〜。陸上強いし。
浦田 志麻
浦田 志麻
…離れちゃうね。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
そやねぇ。
浦田 志麻
浦田 志麻
…決めた!俺母さんたちに晴天高校行かせてって言う!
黄百合 センラ
黄百合 センラ
え!?大丈夫なん!?
浦田 志麻
浦田 志麻
うん。大学青空行くから行かせて!って言う。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
まぁ一緒に行けたらいいけど…無理すんなよ?
浦田 志麻
浦田 志麻
うん。
志麻side
浦田 志麻
浦田 志麻
ただいま…
志麻母
志麻母
おかえりなさい。すぐご飯にするから、待ってなさい。
浦田 志麻
浦田 志麻
はい。
荷物を置くために自室に向かう。
浦田 渉
浦田 渉
おかえり、志麻。
浦田 志麻
浦田 志麻
ただいま
浦田 渉
浦田 渉
まぁね。そういえばさ、そろそろ高校受験でしょ?どこがいいの?
浦田 志麻
浦田 志麻
…晴天高校、がいい。
浦田 渉
浦田 渉
晴天高校?あそこ学校綺麗だよね〜。
今度見学ついてってあげるよ。
浦田 志麻
浦田 志麻
でも多分、無理だから。
浦田 渉
浦田 渉
え?なんで?
浦田 志麻
浦田 志麻
母さんたちに、青空付属いけって言われてる。
浦田 渉
浦田 渉
でも志麻は晴天がいいんでしょ?
浦田 志麻
浦田 志麻
うん。
浦田 渉
浦田 渉
なら言えばいいよ。母さんたちに。
浦田 志麻
浦田 志麻
なんていえばいいのかな。
浦田 渉
浦田 渉
うーん…じゃあ、なんで晴天がいいの?
浦田 志麻
浦田 志麻
センラが、晴天行くって言ってたから。
浦田 渉
浦田 渉
センラ?あー友達。
ならそれをそのまま言えばいいよ。
浦田 渉
浦田 渉
『友達と同じ高校に行きたい』って、いえばいいさ。
浦田 志麻
浦田 志麻
大丈夫、かな。
浦田 渉
浦田 渉
大丈夫大丈夫!
俺だってそれで押しきったから!
浦田 志麻
浦田 志麻
え?
浦田 渉
浦田 渉
俺も元々青空付属行けって言われてたんだよ。
でも、坂田が神楽にするって言うから、友達と一緒がいいって言って押し切ったんだー。
浦田 志麻
浦田 志麻
なんか条件とかつけられた?
浦田 渉
浦田 渉
んー大学は青空行けって言われたけど、俺、志麻みたいにそんな高いとこ目指せる学力ないから、如月大いった。
浦田 志麻
浦田 志麻
そこでも十分じゃない?
浦田 渉
浦田 渉
まぁ日本一の青空には劣るけど、まぁまぁだね。
浦田 渉
浦田 渉
だから大丈夫だよ。青空付属行かなくたって、志麻なら大学は青空行けるよ。
浦田 志麻
浦田 志麻
…うん、母さんに頼んでみる。
浦田 渉
浦田 渉
うん。じゃ、先下降りてるね。
浦田 志麻
浦田 志麻
うん。
荷物を置いて洗面所で手を洗うと、リビングに戻った。
志麻母
志麻母
そうそう、志麻。
浦田 志麻
浦田 志麻
何?
志麻母
志麻母
青空付属の受験希望書書いときなさいよ。
明後日までなんだから。
浦田 志麻
浦田 志麻
…か、母さん。
志麻母
志麻母
何?
浦田 志麻
浦田 志麻
俺…あ、あの…
浦田 渉
浦田 渉
ボソッ怖がんなくても、大丈夫だよ。
兄さんが耳元で囁く。
浦田 志麻
浦田 志麻
お、俺!青空付属じゃなくて晴天高校行きたい!!!!
志麻母
志麻母
…は?
浦田 志麻
浦田 志麻
その、センラが晴天高校行くって言ってたから!センラと同じ学校がいい!
ほぼ叫びに近い声で言った。
志麻母
志麻母
何言ってんの!!!!?
あんたまで渉と同じこと言うわけ!?
志麻母
志麻母
渉のように神楽ならまだしも、晴天ですって!?あんな偏差値の低い高校行ってどうすんのよ!!!!
自分の思い通りにならないとこうやってすぐ怒鳴る。
浦田 志麻
浦田 志麻
大学は青空行くから!!!!
せめて高校までは友達と過ごさせて!
志麻母
志麻母
バカ言わないで!!!!
晴天なんて行かせらんないわ!!!!そんな偏差値の低い高校にいくような友達なら付き合うんじゃないわよ!!!!
浦田 志麻
浦田 志麻
センラのこと悪く言わないでよ!!!!
俺の目に涙が浮かんだ。

その時、
浦田 渉
浦田 渉
…母さん。
兄さんが口を開いた。
志麻母
志麻母
何よ。
浦田 渉
浦田 渉
晴天高校、行かせてあげればいいじゃん。
すごく綺麗な学校だし、別に学力も青空付属には届かないけど、問題ないしね。
志麻母
志麻母
あんたは黙ってなさい!!!!関係ないでしょ!!!?
浦田 渉
浦田 渉
じゃあ志麻の志望校選びも母さんには関係ない。志麻の人生なんだ。志麻の行きたいとこに行かせてあげればいいじゃん。大学は青空行くって言ってんだから。
浦田 志麻
浦田 志麻
兄さん…
浦田 渉
浦田 渉
大丈夫だよ、書いちゃいな、申し込み用紙。
浦田 志麻
浦田 志麻
志麻母
志麻母
ッ、大学は、青空行くのよ!
浦田 志麻
浦田 志麻
(パァ!)
うん!
俺は夜ご飯をかきこむと、スマホを手に部屋へ駆け上がった。
しまだお。
センラ!俺晴天高校行けることになった!
センラ三兄弟チャンチャン♪
お!やったやん!俺も嬉しー!
へへっ、と笑いながらスマホを握った。
浦田 志麻
浦田 志麻
さ、頑張んなきゃな!
センラside


結果発表当日←早←黙れ←すまん
黄百合 センラ
黄百合 センラ
ぅぅぅぅぅうううう…
浦田 志麻
浦田 志麻
大丈夫だよー。センラ頑張ってたじゃん!
黄百合 センラ
黄百合 センラ
せ、せやけどさぁ…
浦田 志麻
浦田 志麻
大丈夫大丈夫!
黄百合 センラ
黄百合 センラ
志麻は頭ええから言えるんやろ!!!!
浦田 志麻
浦田 志麻
ごめんてぇ…あ!張り出されたで!
黄百合 センラ
黄百合 センラ
うぎゃぁぁぁぁああああ!!!!
俺は自分の番号を思い出す。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
(あってくれ…1003番…志麻が親を説得してくれたんや!俺が落ちてどうする!)
1000番台のところを探す…
黄百合 センラ
黄百合 センラ
あ!!!!
あった、あったんだ。

1000
1001
1003


1003番がある!
黄百合 センラ
黄百合 センラ
し…し…志麻!!!!
浦田 志麻
浦田 志麻
センラ!あった?
黄百合 センラ
黄百合 センラ
あった!あったで!!!!合格やぁぁ!!!!
浦田 志麻
浦田 志麻
俺もあった!ほら!!!!
指さされた方には志麻の番号、1201がある。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
ほんまや!!!!やったなぁァァ!!!!
浦田 志麻
浦田 志麻
喜びすぎだって!でもやったね!
親友と同じ高校、しかも第1志望に通える。
ほんとに幸せだ。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
じゃあ、今年からまた3年間、よろしくな!
浦田 志麻
浦田 志麻
こちらこそ!
青空の下、2人で笑いあった。

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