第87話

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2020/06/06 10:28

阿部side





昨日あなたちゃんから大阪へ行くことを初めて聞いた





とても急だったからビックリした





その後あなたちゃんが今までありがとうございましたとか言ってくれてたけど正直なんにも頭に入ってきていなかった






なにか言いたいことがあったんだけど頭が真っ白で言葉が出てこない








いつの間にかあなたちゃんは俺の前から消えていた









阿部「はぁ...」



深澤「....ゃん、阿部ちゃん?」



阿部「あっ、ふっかどうしたの?」



深澤「それはこっちのセリフ。さっきからボーッとしてるし、ため息ばっかりじゃん。何があったの?」



阿部「なんd...」



深澤「なんでもなくないでしょ?」



阿部「....うん、まぁ」









なんでこんな感じに自分がなっているのかが分からない



あなたちゃんに会えなくなるから?



もちろんそれもあるけどそんな悲しさじゃない









阿部「なんていえばいいか分かんないけど...」









バンッ!



ラウール「阿部先生!」






ドアが勢いよく開いてラウールが俺の名前を叫んだ

後ろに翔太くんと涼太くんもいる






深澤「おぉ!びっくりした!3人揃ってどうしたの?」






ふっかの言葉には目もくれず俺の方へ歩いてくる



阿部「ど、どうしたの?」



渡辺「どうしたのじゃないでしょ」



阿部「えっ?」



宮舘「あなた今日行っちゃうんだよ?わかってる?」



阿部「あぁそれは昨日聞いたけど...」



深澤「そういうことか、だから阿部ちゃん今ボーッとしてたんだ」



渡辺「やっぱり...阿部ちゃんあなたに何か言いたかったことあるんじゃない?」



阿部「言いたかったこと...」



ラウール「じゃあ、阿部先生はあなたちゃんのことどう思ってるの?」



阿部「俺は...」











あなたちゃんは俺が昔教えていた生徒


でも今はそれだけじゃない











阿部「俺はあなたちゃんが好き」










ずっと我慢していた


好きじゃない、好きじゃないって自分に言いかけてこの気持ちを抑えていた


でももう我慢できない






ラウール「じゃあそれ伝えに行かないとね」



宮舘「あなたは今駅にいるはず。早く行かないと間に合わないよ」



阿部「うん、わかった」



深澤「阿部!今日は俺が変わって授業してやるから!ちゃんと伝えるんだぞ!」



阿部「みんなありがとう、行ってくる」






勢いよく塾を飛び出した











でも運の悪いことにすぐ信号に引っかかってしまった







携帯を取り出しあなたちゃんのLINEを開く



昨日あなたちゃんに言わないといけなかったこと





『まって、まだ行かないで』

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