これが、私と先輩の出会いだった。
2か月後。
いつものように下駄箱に来たら、宛先が書かれた手紙。
あなたさんへ
と書かれているから、私宛で間違いはない。
そう思いながら封を切る。
拝啓 桜の下にいたあなたさんへ。
僕は、2年3組の奥田雪(おくだ せつ)と申します。
急に手紙を送ってしまい、驚かせてしまってすみません。
僕は2か月前、桜の下にいた貴女に恋をしました。
マロン色の長い髪、大きくてしっかりとした瞳、薄すぎない血色のいい唇、細い手足。
貴女の全てに惚れました。
良ければ今日の放課後、体育館裏の渡り廊下の下来ていただけないでしょうか。
伝えたいことがあります。
2年3組 奥田雪
私は驚いた。そこに書いてあった名前。
奥田雪とは、私の好きな人、一目惚れした人。
嬉しくて舞い上がりそうになりながらも、時間が刻一刻と迫っていることに気付く。
ガラガラガラッ
私は今朝のことを話した。
その日の授業は、何一つ入ってこなかった。
あっという間に放課後、、、。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。